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「全てが生まれ変わったユーベ」イタリア・セリエA第6節 ユベントス-ACミラン

今回、ユベントスがデッレ・アルピを取り壊した跡に建てた新しいスタジアムでの試合を見たが、あの陰鬱でガラガラだったデッレ・アルピとは打って変わって、まるでドイツのような傾斜が強くて明るいスタジアムになっていて驚いた。
そして環境が明るくなると選手にも張り合いが出てくるのか、この試合でのユーベは頭髪を新装した(笑)コンテ監督の元で、昨今の不振が嘘だったかのようにハツラツとしたプレイを見せ、スクデット争いのライバルであるミランを2-0で破ってみせた。
ユーベのフォーメーションは4-1-4-1で、ユーベに移籍したピルロが古巣だったミランと同様に中盤の底で攻撃を操り、1トップのブチニッチまで非常にコンパクトな布陣をキープしながらサイドを中心に分厚い攻撃を見せる。
ミランはユーベにサイドを抑えられ、何とかイブラヒモビッチとカッサーノのコンビネーションでチャンスを作ろうとするが、バイタルをガッチリと締め付けるユーベに対して有効な攻めがほとんど繰り出せず、前半はわずかシュート1本に抑えられる有様。
それでも、百戦錬磨のミラン守備陣は、PAの外側の厳重な守備ラインを強いて、ユーベのサイドや裏への飛び出しに対して集中を怠らずに粘り強いカバーを見せてなかなか大きな決定機を作らせない。
後半になると、さすがにミランも徐々に攻勢に出るようになったが、ユーベがクラシッチに代えて元長友のチームメイトだったジャッケリーニを投入すると再び流れは大きくユーベに傾く。
ジャッケリーニのキレとスピードにミランの左サイドが引き付けられ、サイドの圧力が無くなったキエッリーニがどんどんオーバーラップを仕掛けるようになる。すると自然と中央と逆サイドにもスペースが出来るようになり、プレスが全くかかってないピルロからも次々に縦パスが繰り出される。
ネスタが負傷退場したミランに対して、ユーベは次々にシュートの雨を降らすのだが、肝心の決定力に欠けて点が決まらないうちに後半を40分を過ぎ、このままドローで終わるかと思われたのだが、87分にゴール前での連続ワンツーからマルキジオが抜け出し、DFが足に当てたボールがたまたまマルキジオの足にも跳ね返ってゴールに吸い込まれるラッキーな得点でようやく先制すると、その直後にはイージーなミドルシュートをミランGKアッビアーティが何とトンネル、これで完全に勝負あり。
スタジアムも新しくなったのだが、ユーベのサッカーも最近のイタリアビッグクラブには珍しい、コンパクトでモダンなスタイルへと変貌し、それにミランが最後まで対応しきれずに押し切られた格好になってしまった試合だった。
ただしこういうサッカーは、最初こそ非常な強さを見せるが研究されたり攻撃のキーマンが抜けてしまうと一気に歯車が狂って上手く行かなくなる場合が多く、特に相手の特徴を殺すことに長けたイタリアでは難しいものがあるのだが、全てが新しくなった勢いでユーベがどこまで突っ走れるのか見ものである。

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