「ノヴァーラでバラバラ」イタリア・セリエA第4節 ノヴァーラ-インテル

さて、森本が引導を渡す形でガスペリーニ監督の解任が決まってしまったこの試合。
アウェイとホームでの内容が天と地ほど違うってのは、イタリアのプロヴィンチアとしては普通の姿ではあるのだが、ノヴァーラも当然その例に漏れず、守備時には4-3-3のようにきっちりと3ラインを組んでコンパクトに守り、ボールを奪ったらサイドを中心に鋭い出足で攻め切るという、実にモダンなサッカーを展開していた。
それに対してインテルは酷いもので、せっかくローマ戦では守備が機能したかと思ったら、今度はサムエルに代えてラノッキアをセンターにし、キブを右CBで初起用。そしてダブルボランチは何とスナイデルとカンビアッソでサネッティは右WBに追いやられ、3トップはこれまた初先発のカスタニョスを入れるという、コンビネーションをこれっぽちも考えてないとしか思えないヤケクソ謎采配。
案の定、試合開始直後にキブのバックパスミスを掻っ攫われてジュリオ・セーザルがかろうじて体で止める嫌な展開でスタートしたと思ったら、38分にはラノッキアがオフサイドラインを大きく崩したポジショニングを突かれて、メッジョリーニにゴールを決められてあっさりとノヴァーラが先制。
インテルはボールを持ってもチンタラ自陣でボールを回すだけで選手の動き出しが全くなく、長友もサイドに張って待ってはいるのだが、やっとボールが来てもきっちりスペースを閉められているので中や後ろに返すしか無く、カスタニョスに至ってはほとんどボールを触れないまま前半で交代という、あまりにも気の毒なデビュー戦になってしまった。
後半からインテルはオビとパッツィーニを入れて長友が右サイドに回り、序盤こそ少し攻撃が活性化して長友もドリブルから鋭いシュートを見せたが、その良い時間帯も長くは続かず、68分にスナイデルが下がるとその後はほとんど見せ場を作れず、89分にゴール前での競り合いでラノッキアが森本を倒しPK。その後はカンビアッソが1点を返すものの、最後に森本の右サイドでの突破から最後はリゴーニが押し込み勝負有り。
ノヴァーラサポーターが、インテル相手にホームでの歴史的な勝利を挙げて大喜びする様子と、ベンチに下がった後、ピッチを振り返ることもなくさっさとロッカーに戻っていったスナイデルの無表情があまりに対照的であった。
インテルは後任監督としてラニエリの招聘を決定したようだが、まずは戦術云々よりも、メンタル的にどん底になっている選手のモチベーションが問題だ。ガスペリーニの失敗は、ベテランが多くて自分たちのやり方というものが固まっているインテルの選手に対して、運動量と統率が必要な3-4-3という戦術を押し付けようとした事は明白なので、まずはとにかく「普通」に戻すべきだろう。
森本については、ボールが来れば確実なボールキープからアジリティとアイデアでパスをつなぎ、スペースが出来だした後半は2点に絡むなど、ボールを持てば仕事が出来ることを証明した。ただ、前の試合は特にひどかったが、守備への貢献とオフザボールの動きにはまだ課題があり、彼自身の攻撃能力からするとプレイ回数があまり多いとは言えない。まあ、怪我をしない限りはスタメンは安泰だろうから、これからどんどんと成長していくことを期待したい。