「点を取った森本の採点が悪い理由」イタリア・セリエA第3節 カリアリ-ノヴァーラ

2-1で敗戦したとは言え、ゴールを決めた森本が何でイタリア紙の採点が5という、かなり悪い方の部類だったのかが不思議だったのだが、実際に試合を見てみるとすぐにその理由が分かった(笑)。
とにかく前半は、森本は一度もボールを触っていないんじゃないかというぐらいの消えっぷりだったのだ。
ノヴァーラは1部の椅子を最も低い順位でゲットしたチームで、それなりに開幕前は補強に走ったとは言え、ちゃんとセリエA残留という結果を出し続けているカリアリとは経験や選手層が段違いで、アウェイのノヴァーラは守備陣がほぼ6バック状態になって中盤というものがすっかり消えていた45分間だった。
そんな中で森本は、ポストプレイに下がるのは同じFWのジェダにおまかせし、自身は中央に張りながら裏を時々狙うぐらいで、どんなクラブの王様FWでさえ精力的に守備をこなす事が当然になっている現在、ここまで守備や組み立てを無視して個人が得点する事のみに専念している選手は悪い意味で珍しい。ある意味、イタリア人以上にイタリア人FWとしての考え方が染みこんでしまっているのか。
後半になると、ノヴァーラはようやくSBが高い位置に上がって攻撃の幅が大きくなり、それにつれて森本が前を向ける状況が生まれ始めて、やっとこさノヴァーラが試合のリズムを取り戻せるようになったなと思ったら、86分にカリアリのミドルが味方の選手に当たり、コースに飛んだゴールが決まって2点差。
そこから森本のゴールシーンにつながるわけだが、当然ながらそこからの反撃を許すカリアリではなく、そのままのスコアで終了してしまった。
結局完全な王様状態で試合を終えてしまった森本だが、プレイの幅広さという面では相変わらず全く変わってないなという印象。岡崎のように(笑)得点以外の部分で能力が高いというわけではないので、残留争い確実なクラブがどこまで辛抱できるのか、ザックが求めるFW像とは程遠い状況で、森本が代表スタメン入りを見据えて何をどう選択していくのか、楽しみでもあり懐疑的でもあるところである。