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「3-4-3の完成はまだ遠い」イタリア・セリエA第2節 パレルモ-インテル(4-3)

第1節がストライキのために順延となり、ガスペリーニ監督下での新生インテルの船出はパレルモとのアウェイ戦となった。
インテルの布陣は、3バックがサネッティ、サムエル、ルシオ、中盤が長友、カンビアッソ、スタンコビッチ、ジョナタン、FWがフォルラン、ミリート、サラテという形で、スナイデルはベンチスタート。
序盤はホームのパレルモが激しいプレスでインテルを攻め立て、その後も試合はほとんどパレルモのペース。インテルは、3-4-3の布陣があまりコンパクトさを保てず、攻撃時にはサイドの選手がワイドに広がるので、どうしてもカンビアッソとスタンコビッチのところにスペースが出来てしまい、ジョナタンの裏に張ったミッコリに易々とパスを通され、そこから波状攻撃を受ける悪循環。
3バックも全く呼吸が合わず、誰がアタックに行って誰がカバーするのかの整理が出来ておらず、DFが3人揃っているのに全員がボーッと横並びになってバイタルでボールを受けさせたり、慌ててカバーに行ったら裏へサックリボールを通されたりとザルもいいところ。特にルシオの緩慢な動きが目についてしまった。
だが先制したのはインテルの方で、33分にスタンコビッチのミドルをゴール前でコースを変える、「急にボールが来たから」ゴールをワンチャンスで決めてしまう。
そしてそのすぐ後に、ガスペリーニ監督はせっかくリードを奪ったにも関わらず、ジョナタンと連携が取れずにズルズル後ろに下がるばかりだったサラテをスナイデルに変えるという謎采配を見せる。
いつもの事だが、スナイデルが前線でボールに絡み始めるとインテルの攻撃にアイデアが生まれるようになり、強烈なミドルやサイドからの崩しでパレルモゴールを脅かすようになる。
しかしパレルモも後半3分に、DFラインの間で待ち受けていたミッコリに対してルシオとサムエルがどちらもマークに行かず、インテルのパスミスから裏へとパスを通されてあっさり同点にしてしまう。
インテルはせっかくミリートがPKを決めてリードをするのだが、またも守備陣が足を引っ張ってしまい、中央をミッコリらのワンツーであっさり破られると、長友のカバーも届かず最後はアベル・エルナンデスが決めてパレルモが再び同点。
その後は両チーム共に疲れが見えて互いにゴール前のシーンが増えるものの点が入るまでには至らず、このままドローで終わるかと思われた41分に、ミッコリが見事なFKを決めて逆転すると、その直後にも棒立ちになったインテルDFの隙を突いてマウリシオ・ピニーラがミドルを決め、一気に試合を決めてしまった。
3-4-3の守備組織自体は、ある程度時間と経験を積めばそれなりに形になって行くだろうからそれほど心配はしていないが、その場合にスナイデルをどう組織に組み込んでいくかという問題のほうが大きくなってくるのではないかと思っている。
スナイデルがいない間は、長友とフォルラン、カンビアッソのサイド攻撃がぎこちないなりに形にはなっていたが、スナイデルが入ったとたんに組織がフリーダムになってしまい、3-4-3の特徴であるサイド攻撃よりも中へ中へと行く攻撃がメインになってしまい、それがためにスナイデルがサイドのカバーに戻れない場合が多くなり、パレルモの2点目もFWが後ろからの攻撃参加に誰もつかなかった事が原因でもあるので、ここを放置したままだとやっぱり昨シーズンのようなザル守備に逆戻りという事になりかねない。
長友については、コンディションの問題なのか戦術的な縛りが多かったのか、いつもよりも上がるタイミングが遅めで、相手も警戒してサイドのスペースを埋めていたので思いきりの良い上がりは数えるほどだった。交代で入ったオビがなかなか良い攻撃を見せていただけに、安閑とはしていられないところである。

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