「ちょっとしたイタリア病と言うべきか」ブラジルW杯アジア3次予選 ウズベキスタン-日本

どうも監督という人種は、難しい試合になると予想される対戦の場合、ついいろいろと策を弄してしまう性癖があるのかもしれないね。
この試合では、柏木の代わりに阿部が入り、長谷部トップ下か阿部をアンカーに置いた4-3-3なのかいまいち良く分からないフォーメーションで臨んだのだが、これが前半は見事に機能しなかった。
ウズベキスタンは日本に対して非常に攻撃的な戦いを挑んできて、SBが最初から高い位置取りをして岡崎と香川の位置を押し下げ、ピッチ状態に影響されない浮き球やサイドチェンジで日本のプレスの足を止め、逆サイドに出来たスペースを使ってサイドに基点を作っては、オーバーラップやドリブルで日本のサイドを何度も破ってきた。
そのため、カバーにボランチやCBがつり出され、バイタルに開いたスペースにジェパロフやアフメドフが侵入してきて、フラフラと自由なポジショニングでボールをしっかりキープするゲインリフをうまく使って波状攻撃を仕掛けてきた。
長谷部は何とか高い位置でプレスや攻撃に絡もうとするのだが、サイドが下がっているので連動性がなく、プレスがかかってないのに上がってはスペースを使われるという空回り状態だった。おまけに中盤でのボールの競り合いには負け続け、審判も日本のオフェンスファールを取りがちだったので、コンディションの問題もあるのだろうが日本の出足は終始鈍ったままだった。
後半になってザックは清武を投入したが、本田のような鬼キープこそないが、フィジカルの強さを生かしたドリブルや体を張った守備で右サイドに秩序をもたらし、香川は守備義務から解放されて調子が悪いなりに前線でボールに絡み出し、判断は遅いは守備は軽いわで前半は散々だった内田がようやく蘇り、それが後半20分に相手ゴール前でのパス回しから崩した岡崎の同点ゴールにつながった。
そこから10分は完全に日本の時間帯だったが、そこで決め切れないうちに日本の運動量が落ちてしまってホームで勝利を狙うウズベキスタンに押し込まれ、ハーフナー・マイクを入れてもそこまでボールが届けられなくなり、最後は槙野を入れて3バック気味にして逃げ切りを図ったが、あまりそれがチーム全体に統一されていたようには見えず、結構ヒヤヒヤさせられた。
阿倍が先発する形はどうやら練習をしてなくて急に決まったらしいが、日本の場合はイタリアのように戦術意識が誰にも彼にも染み付いているわけではないので、電気パーツを入れ替えるように監督の意図が即チーム内で統一されるという事が難しいのは、アジアカップでザックは分かっていたと思ったんだけど、つい守備的な方向に手を売ってしまうイタリア人の性が働いてしまったのだろうか。
まあ、いろいろと日本の不出来を書き連ねてしまったが、やはり苦戦の一番の原因はウズベキスタンが強かったという事だろう。ホームグラウンドで慣れているというのもあるが、あれだけDFラインできっちりとボールを回してサイドチェンジを繰り出し、デコボコのピッチを苦にせずドリブル突破、運動量も最後まで落ちないところは、アジアカップベスト4に恥じない実力だったと言える。さすがに日本ホームでは同じ展開にはならないだろうが、次回も十分に警戒しないといけない相手であることは疑いないだろう。
次はホームでのタジキスタン戦。ここまで2戦して2敗の相手だけに圧倒できる試合だとは思うが、どんな弱いチームにも1点ぐらいは事故で入ってしまうのがサッカーであり、ここまで日本の決定力を担ってきた1人の本田が離脱し、もう1人の香川が不調なのが気になるところだ。この2戦のようにチャンスを逃し続ければまさかの展開が無いとは言い切れないので、特に欧州組はリーグ戦に戻っている間にコンディションを整えてもらいたいところである。