「未だに方向性が見えない両チーム」ヤマザキナビスコカップ1回戦第1レグ 浦和-山形(2-0)

リーグでの低迷が続いている両チームの対戦だったが、やはりそれを証明するかのような低調な内容に終始した試合だった。
最近の浦和は4-4-2のフォーメーションを取っているが、それほど選手間がコンパクトではなく、ミドルパスをつないで両SHの原口やマルシオ・リシャルデスからサイドアタックを仕掛けるオランダスタイルを指向しているように見える。
が、山田暢久や鈴木はパスに長けた選手ではなく、柏木は遠藤のような働きを期待されているようだが本質的には2列目の選手であり、オランダのように後ろからサイドへとビシバシパスが通るような事はなくて、足元へとボールをつないではマークを受けて横や後ろにパスを返すというかったるい攻撃に終始していた。
浦和には山田直輝や田中達也、エスクデロと2列目選手だけは豊富にいるので、4-2-3-1にするのが一番いいのではないかと思うのだが、エジミウソンは1トップに向かない足元タイプだし、高崎に多くを期待するのもまだ酷だしで、フィンケ時代からやろうとしているサッカーと選手層が合っていない悪癖が解消されていない。
レッズに救いがあるとすれば、山田直輝が怪我以降まだパフォーマンスが上がっていないのが気がかりだが、この試合で完封を演じたGK加藤や、高橋峻希、宇賀神、そして原口といった若手が伸びて来ていることで、特に2点目を決めた原口はU-22でも宇佐美をサブに追いやる働きを見せていて、Jの中で最も勢いを感じさせる選手の1人になっている。それだけに、浦和のフロントや指導者の問題が際立ってしまうのも事実である。
山形は、そんな浦和相手にほぼ何も出来ずに完封負けという不甲斐なさ。今までであれば、固い組織的な守りからカウンターが威力を発揮していたのだが、今季は同じ守りは守りでもかなり後ろ側に引っ張られる形になってしまっていて、肝心のカウンターが遅すぎてまるで実効性を発揮していない。選手起用や采配云々ではなく、闘う守備というコンセプトを取り戻すことがまず必要だろう。