「ジキルとハイド」U-22親善試合 日本-オーストラリア(3-1)

この試合については、既にスポナビで小澤氏が興味深い戦評を書いているが、それをあらかじめ読んでいたのもあるのか、日本がそれほど内容で負けたとは思わなかった。
確かに、前半の20分までの日本は酷いものではあった。DFラインがきちんとトップの選手を抑えられず、バイタルエリアに侵入してくるオーストラリアの選手を中盤がチェックできないためにどんどんとパスを通され、そこからサイドに展開されては連続攻撃を食らうという超悪循環。
その時間帯以降は、日本も少しサイドが前に圧力をかけ始め、前線の4人にボールが渡るようになってポゼッションで盛り返すことが出来るようにはなったが、山村と山口の両ボランチは後半になってもプレイが軽いままで、不用意に前へとプレスをかけては軽く交わされたり、近くの選手をマークしているのにも関わらず、コースを切るだけでボールを切りに行かなかったりという状態だった。
山村はJリーグのクラブが争奪戦をするだけあって、先制点のアシストを始めとして随所にパスセンスを感じるプレイを見せはするのだが、昔の遠藤をもっさりさせたかのように守備が淡白なのは、五輪本番の事を考えると相当不安があるなとは思う。
後半になると、日本は見違えるようにラインが高くなってオーストラリアの前線に対する当たりがようやく厳しくなり、相手がボールコントロールを失ったところに他の選手がカバーに入る守備が機能し始める。そうなると、今度は日本が相手のバイタルに入る機会が多くなって、原口・東・清武という、前を向いたら確かな仕事が出来る面子が躍動。こうなれば今度は好循環である。
試合の結果はエース永井の2得点1アシストで、彼の活躍だけが目立った格好になったが、世界と伍していくだけのポテンシャルがある前線と、クウェート相手にも苦労しそうな中盤守備という極端な強みと弱みの間で、これから関塚監督がどうバランスを取っていくのか。
とりあえず、五輪切符を手にする最後までハラハラさせられるチームであるのは間違いなさそうではある。