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「センターバック長友デビュー?」コッパ・イタリア決勝 インテル-パレルモ(3-1)

結果だけならインテルの完勝でコッパ・イタリア連覇、無冠を免れて万々歳というところなのだが、実際には苦しんで苦しみぬいて何とかもぎ取った試合であった。
インテルは予想通りに長友が右、キブが左に入る4-3-1-2という形のスタメンでスタートしたが、パレルモは徹底して自陣のバイタルに入ってくるボールに対してファールを辞さずに厳しく当たる戦術が徹底されており、スナイデルなどは開始直後から何度も削られてインテルは全く攻撃のリズムが作り出せない。
エトーとパッツィーニはいつものように守備や中盤のパス回しの役には立たず、エトーのサイドを警戒する分、両チームの布陣が全体的にエトーサイドに寄ってしまい、長友のサイドががら空きになったところでパレルモに展開されると、中盤の右に入ったサネッティが後ろに下がらざるを得ず、長友が中にスライドしてほとんどCBのような仕事をする形が多かった。
そうしてサネッティがSBになった5バック状態になってしまうと、中盤は運動量に期待できないモッタとスタンコビッチだけがカバーする事になり、そうなるとパレルモはバイタルエリアに選手が入り放題で、売り出し中のパストーレを基点にしてエルナンデスらが次々に決定的なチャンスを作ったが、インテルGKジュリオ・セーザルの落ち着いた対応で何とか凌いでいく。
ところが、25分にパレルモはCBのゴイアンが負傷退場し、選手交代に伴うマークの混乱があったのか、それまで完封していたスナイデルのマークが一瞬外れ、彼のスルーパスからエトーが抜けだし、驚異的な決定力でインテルがワンチャンスをものにして先制する。
後半10分にパレルモはミッコリを投入して3トップ気味に。これでマークがはっきりしたのか、長友がCBの位置まで絞ることも無くなり、積極的なオーバーラップを見せるようになるが、やはり中でなかなか基点が出来ない上に、相手も長友を研究して縦突破を抑えていたので、あまり良いタイミングでボールには触れない。
その後もパレルモが攻め続けてチャンスを作るが得点できないままに時間が過ぎ、ようやくパレルモが疲れてきてスペースが出来てきた78分に、中盤でボールを奪ったスナイデルから右サイドのエトーにパスが渡り、またも冷静すぎるシュートをファーに決めてインテルが2点目。
88分に明らかにタッチラインを割ったボールのクロスをクリアしてCKになった誤審から、パレルモが1点差に迫るヘッドを決めるものの、その直後に2枚目のレッドでパレルモの選手が退場、最後は絶不調に陥っていたミリートが待望のゴールを決めて、インテルがかろうじて有終の美を飾った。
長友はラインを組んだ他のCBとの間に作ったスペースに入り込まれたり、前に寄りすぎて後ろを攻められたりと、セリエAのDFとしてはやや甘い面を見せてしまった場面はあったが、まず勝てば官軍だし(笑)、前からの助けなしに最終ラインを守るという難しいタスクを何とかこなせていたのは、非常に良い経験になったのではないだろうか。
それよりも、レオナルドに相変わらず戦術らしい戦術が無いのが気にかかる。この試合でも中盤がら空き状態で、CBの誰が誰に対して縦へのボールをマークするかの整理がされておらず、時には長友がフォアチェックに言ってしまったりと、とにかく中盤から後ろの対応がバラバラだった。
前線にエトーとパッツィーニがいるので、決定力に悩まされる事は無いのだから、守備さえちゃんと出来ればもっと楽な試合が出来ると思うんだが・・・あれほど守備に厳しいイタリアで、その点が放ったらかしにされているのが不思議でしょうがないよね。来期続投するなら、是が非でも戦術的な参謀を付けてもらいたいところだね。

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