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「互いの穴を隠しながら」ゼロックス・スーパーカップ2011 名古屋グランパス-鹿島アントラーズ

Jリーグ王者と天皇杯王者が戦う、Jリーグのシーズン開幕を告げる恒例の試合だが、今年は両チーム共にミッドウィークにはアウェイでのACLが待っているので、どちらも省エネを考慮した固い試合になった。
そんな中で先にペースを握ったのは鹿島。新戦力のカルロンや復帰組の田代、増田はベンチに入ったものの、スタメンはほぼ昨シーズンと同じだけあって、連動したプレスで名古屋の攻撃を許さない。が、興梠と大迫は高さと強さを誇る名古屋DFの前に、なかなか決定機を作り出すことが出来ない。
名古屋はダニルソンがケガで長期離脱し、この試合では中村をアンカーの位置に置いて小川と藤本で中盤を形作ったが、やはりダニルソンの穴は大きくて中村の両側のスペースを鹿島に使われる羽目になり、そうなると両サイドの選手も気を使って引き気味のプレイを強いられるために、名古屋は個人能力で単発のチャンスを作り出すだけになってしまっていた。
前半はそんな感じでどちらもあまり決定機が無いまま過ぎてしまったが、後半8分に藤本のFKから増川が頭で合わせて名古屋が先制。しかし鹿島も21分に野沢のFKが決まって同点にすると、カルロンや本山を投入して一気に逆転を狙ったが、試合は同点のまま終了してPK戦に。
ここで鬼神の如きプレイを見せたのが名古屋GK楢崎で、代表での正GK川島に挑戦状を叩きつけるような、3度のPKセーブを見せて名古屋がスーパーカップ優勝を飾った。
後藤さんも書いているが、やはりマルキーニョスとダニルソンという両チームにおける攻守の要を欠いた状態をどうやってカバーするか、という課題が与えられた試合であったが、その穴はそう簡単に埋まらないという厳しい現実をさらけ出してしまった内容だったと言える。
名古屋は終盤に見せたように中村と吉村のダブルボランチで行くのか、それともワンボランチを通すのかで路線が大きく変わってくるし、鹿島としては、興梠はこれから何かが大きく変わることはないだろうから、大迫の成長とカルロンの実力次第で、昨シーズンの二の舞を避けられるかどうかが決まってくるわけで、不安と課題を抱えたままのシーズン序盤になる事は確かだろう。

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