「決勝で初めて見た高校らしいサッカー」全国高校サッカー選手権 決勝 滝川第二-久御山(5-3)

今年の高校選手権はどこも比較的モダンで固いサッカーをやっているチームばかりで、ある意味若々しさのない(笑)試合が多かったんだけど、やっと決勝になって高校生らしく良い意味でアマチュアリズムを感じさせる攻め合いの展開になった。
久御山は序盤から得意のパスワークとドリブルで、慎重な出足だった滝川第二を攻め立てたのだけど、その間にいくつかあったチャンスに決めきれず、20分を過ぎたあたりでフィジカルとキープ力で上回る滝川第二がペースが落ちてきた久御山陣内に入り込み、マークをしていながらも浜口にうまく反転されて先制点を奪われると、相棒の樋口にも40分に2点目を決められてしまい、守備力に定評がある滝川第二が2点をリードした時点で、もう勝負はついてしまったかに思われた。
しかし久御山は4-1とリードされた終盤に驚異の粘りを見せ、中央をドリブルとパスでゴリゴリと突き抜ける、滝川第二のお株を奪うような力技で39分と41分の短い間に2点を返して1点差。これで試合はまた分からなくなったと思ったが、久御山はその勢いを点につなげることが出来ず、逆に5分のロスタイムも尽きようとする時間に得点王を決定づける樋口の5点目が決まり、これで本当に試合は終了。
決勝といえば最近はどんな大会でも負けたくない同士の固い試合になるパターンが多いのだけど、それを完全に覆す久御山の積極性がこの楽しい試合をもたらしてくれた事は間違いなく、優勝した滝川第二以上に試合を見た人に良い印象を残したチームだったのではないだろうか。
滝川第二は、得点王になった樋口に清水からオファーが来ているというニュースがあり、先輩である岡崎二世という異名を早くも受け取ってはいるが、個人的にはFWでのプレイよりも初戦で欠場した谷口の代わりに入ったボランチでのプレイのほうが、視野の広さや運動量、そして遠目からもミドルを狙えるパワーという特性が生かせていて面白かったように思う。高校選手権の得点王はあまり大成しないイメージがあるけど、主力がごっそり抜けた来季の清水なら出場チャンスはあるだろうし、是非頑張ってもらいたいところだね。
それにしても、毎年思うことだけど高校サッカーは民放ぐるみで地元なら1回戦から放送してくれるのに、高校からはベスト4のうち1校しか残らなかった高円宮杯全日本ユースが放送されないってのは本当に悲しいよね・・・もっとも、そこまでユース世代に注目しないのが欧州じゃ普通なんだけど、日本人の若者好き気質にJユースが何とか食い込んでくれないかなと思ってしまうよなあ。