「まずは良い宿題をいただきました」アジアカップ2011 ブループB 日本-ヨルダン(1-1)

いや、何とか引き分けに追いついたから言えることだけど(笑)、ヨルダンには良い宿題を与えていただいたかなと。
日本の試合の入り方は決して悪くなかった。ジーコや岡田時代よりははるかに縦に早くボールを入れる意識は感じられたし、DFラインと中盤とのボール回しのスピード感は悪くなかった。ただ、前線から先の選手については、本田にはマークが集中してほとんど身動きが取れず、香川は本田がスペースメイキング出来ないのでサイドに張り付かざるを得ず、前田は強力な2列目の中でどう役に立つべきか整理されていないようで、ほとんど存在感が出せていない。
そうやって日本がボールを支配しながらも決定的な場面を作れないでいると、必ずしっぺ返しを食らってしまうのがサッカーの法則で、前半終了間際に右サイドで変に選手が集まってしまったところを突破され、ハサンのシュートはそのままだったらGK正面だったんだけど、ボールは吉田麻也の足に当たってコースが変わり、日本は不運な失点を喫してしまう。
後半から前田に変わって李が1トップの位置に入ったが、立ち上がりは活発な動き出しで日本の攻撃を少し活性化させはしたものの、日本がボールを支配し続けてヨルダンが先にバテるはずだった展開なのに、日本もヨルダンと共に動きが鈍くなってしまい、だんだん足が止まってつまらないミスが増えて危ないシーンを作ってしまう。
日本は後半途中から香川と本田のポジションを変えて、香川が狭いバイタルエリアでボールを受けるようになってからチャンスらしいものが出来始めたが、そこで香川がボールを受けてからの連動やアイデアが少なく、結局最後は長友が精度の低いクロスを出して終わったりしてどんどん雰囲気は悪くなるばかり。
このまま日本は初戦敗退で終わるかと思われたロスタイムに、長谷部のショートコーナーに吉田が飛び込み、日本は土壇場でかろうじて追いつき、ザッケローニ監督にとっては洗礼とも言えるアジアカップの苦い初戦が終わった。
まあ、何とか引き分けには終わったものの、試合展開的にはまさに「負けるときはこんなもの」という典型的なパターンで、昨年のテストマッチで楽観的になっていた我々にとって、やはりアジアは舐めていたら厳しいと再認識させてくれた試合だったように思う。
特にシーズンが終わった松井、遠藤、前田、本田といったところが軒並み調子を落としていたのは、事前に予想された事ではあったとは言え、負ける寸前まで追い込まれるとはザックも予想してなかったのではないだろうか。
これで国内組と海外組のコンディションが半年ずれている日本の難しさを認識し、調子の悪い選手を使ってはアジアでさえ厳しい試合になるという事実を目の当たりにし、ザックが無名でも調子のよい選手を積極的に使っていくきっかけになれば、選手層の面でもさらなる活性化につながるのではないかと思うのだが・・・
とにかく次戦は絶対に勝ち点3が必要になってしまった。選手はおそらく口では否定するだろうが、大会前に多少緩んだ空気があった可能性は高いように思うので、ここでかっちり気持ちを引き締め直して、次は全力・万全で試合に臨んでもらいたいところである。