「相手のミスをものにするしたたかさ」全国高校選手権 準々決勝 日章学園-滝川第二(0-3)

結果的には0-3の大差での滝川第二の勝利になったが、内容的にはむしろ日章学園のほうが上回ってさえいたように思った。
日章学園は静岡学園という優勝候補を破ってベスト8に勝ち上がってきたのがフロックではない実力を見せ、全員が労を惜しまず走ってプレスをかけ、ボールを奪ったらすぐさまトライアングルを形成する位置までフォローしてパスコースを作り、ボランチがボールを持ってルックアップした瞬間には必ず逆サイドの選手が前線に走りこんでいるなど、今大会で目立つモダンサッカーをやるチームの中でも、さらに約束事が忠実に徹底されている印象を受けた。
対する滝川第二は、前半は樋口・浜口の強力2トップに早くボールを渡そうという意識が強すぎたのか、やたらと攻め急いではミスからハーフカウンターを受ける展開が続き、DFが日章学園の選手を捕まえきれずに決定機を許してしまうなど、流れ的には滝川第二のほうが劣勢だったように思う。
しかし、前半8分の滝川第二・本城による強烈だがコース的には甘かったミドルは、GK河野が手に当てながらもゴールを許してしまい、26分には左サイドからのクロスに対して、日章学園のDFが目測を誤ってかぶってしまい、裏に走りこんだ樋口にダイビングヘッドを決められるなど、ミスから前半のうちに2失点してしまった事が日章学園にとっては致命傷になってしまった。
後半は連戦の疲れからか双方ともに中盤が大きく空いて、不正確なミドルパスをダイレクトで出し合うような大味な展開になり、日章学園も前半に見せていたようなコンパクトで緻密な攻撃を繰り出すことが出来ず、後半30分にはロングスローから選手が交錯し、ゴール前でどフリーでいた浜口が難なく3点目を奪い、これで試合は決まってしまった。
確かに得点はどれも日章学園のミスから生じたものではあるが、それをきっちりモノにする滝川第二のしたたかさや落ち着き、冷静な判断という経験が、日章学園との点差になった部分があるように思う。
次の準決勝は立正大淞南というダークホースが相手だが、決勝に気持ちが行ってしまうと静学のように足元をすくわれてしまうだろう。まずは中2日できっちり体を休めて、リフレッシュした状態で次に臨んでほしいところである。