「Jリーグのような失敗に終わったドルトムント」ヨーロッパリーグ グループJ セビージャ-ボルシア・ドルトムント(2-2)

グループリーグ最終節で、ホームのセビージャに勝てば決勝トーナメント進出だったドルトムントだったが、結局2-2のドローで終了し、残念ながらグループリーグ敗退が決まってしまった。
ドルトムントは、試合開始4分で香川のミドルがDFに当たってゴールが決まる幸運な先制点をゲットしたが、その後はフィジカルでごり押しするセビージャのサッカーに苦しみ、31分にはクロスをルイス・ファビアーノが落としたところでDFがクリアミスし、それをロマリッチに押し込まれて同点にされると、35分にはシュートコーナーからのクロスカヌーテに頭で決められ、あっさり逆転を許してしまう。
後半開始早々に、ドルトムントはCKからスボティッチがヘディングを決めて同点に追いついたものの、その後は自陣で引いて守るセビージャの守備を崩す事ができず、クロップ監督はレヴァンドフスキと入れてバリオスとの2トップ、左SHに香川、右にゲッツェという布陣にしたものの、かえってポジションチェンジが無くなってセビージャには守りやすいパターンになってしまい、15分過ぎから早くも中東戦法を繰り出すセビージャにまんまと逃げられてしまった。
ブンデスリーガで首位を独走しながらドルトムントがELで敗退してしまったのは、ホームで試合を支配しながらも取りこぼしてしまった事、そしてここに来てバリオスやゲッツェといった攻撃のキーマンが体調不良に陥った事が直接的な原因ではあるが、やはりこの試合に象徴されるようなチームの経験不足が間接的には大きかったのではないかと思う。
ドイツの場合は、だいたい大柄な選手がきっちりとパスをつないで攻めてくるチームが多くて、セビージャのようにどこの国のクラブなのかと言うぐらいに黒人選手を並べ、スピードとフィジカルでごり押しして来るサッカーをやって来るチームはまず存在しない。
ドルトムントの選手も、ドイツなら通るパスでも、セビージャの黒人選手にはリーチと高さでカットされたりタックルでボールを失ったりでミスになり、ミスを恐れて消極的なポジショニングになったり、ミスにならないようにいつもより無理なタイミングでパスを出したりしているうちに、ドルトムントの売りであるチームの連動性が失われ、相手にペースを握られる結果になってしまった。香川も最初の得点以外は、ミスが多くて他の選手と同じようなサイクルにはまり込んでしまっていた。
これはちょうど、JリーグのクラブがACLで中韓オージーのチームに負けるパターン、つまりガンバや鹿島が最初はアジアのサッカーに慣れる事が出来ずグループ敗退を喫したのと同じ事で、こういう経験を経ていく事で必ず克服できるものだと思う。ドルトムントも来期はほぼ確実にCLが待っているのだから、この苦い経験を忘れずに、次こそはドルトムントらしい思い切りの良い積極的なサッカーを欧州の舞台で見せてもらいたいものである。