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「ベスト16のチームらしく化けました」欧州CLグループB シャルケ04-リヨン(3-0)

サッカーのチームには化ける瞬間があるというのは、今まで散々に見てきた現象だけれど、何度遭遇してもやっぱり「何故少し前はああだったチームが突然こうなった?」と目を疑ってしまうよね(笑)。
ほんの少し前までは、攻守共にチームがばらばらで連動した動きというものが全く無かったシャルケは、試合開始から別人のような攻撃を見せ、ボールを奪ったら一気にラウル・フンテラール・ファルファン・フラドの前線が全速力でリヨンゴールへとめがけて走り、矢のようなパスとクロスをつないでチャンスを量産する。
単にパスの速さと動き出し以外にも、例えばラウルがノールックで出したヒールパスを味方がフォローして拾ったりと、危ないと思うようなスペースにこぼれたボールに、リヨンよりも早くボールに追いつくなど、選手の間での連携というか、次に誰がどこに走ってどうつなぐかといった意思の疎通が出来上がっていて、前日に攻撃に関してはかったるかったUAE戦を見ていただけに(笑)、目が洗われるような美しさがあった。
そして13分には、ドリブルでPA内へと突っ込んだラウルのこぼれ玉を拾ってファルファンがゴールに流し込むと、20分にはフラドとクルーゲで左サイドを突破し、最後はグラウンダーのクロスに飛び込んだフンテラールが合わせて2点目とリヨンを圧倒する。
そこからはさすがにシャルケもスローダウンしてリヨンが盛り返し始めるが、シャルケの守備陣はこれまた以前のザル状態からは見違えるようになっており、例えば内田が高い位置で相手のサイドを押さえると、その後ろは必ずジョーンズかヘヴェデスがカバーに入っており、二重三重に連動したプレスとカバーリングが為された守備で、自分たちの招いたミス以外ではリヨンに付け入る隙を与えない。
89分には、それまで攻撃ではあまり目立たなかった内田が久々に攻撃参加し、長いアーリークロスをフンテラールにピタリと合わせ、フンテラールが落ち着いた切り返しでDFを外すと、自身2点目となるゴールを決めて試合終了。裏のベンフィカがハビエル・テルアビブに何と3-0で負けてしまったために、シャルケは勝ち点4差で上回り、リヨンも当該成績の得失点差で両チームの決勝トーナメントへの進出が決まった。
シャルケは中盤の展開力に難があって、守備から前線のラウルやフンテラールに良い形でつなげることが出来ていなかったが、クルーゲがうまく攻守のリンク役を果たすことが出来るようになり、ラウルが下がって基点を作ることで、フラドやファルファンの突破力が生かせるようになって来た。
もっとも内田の活躍という意味では、この試合ではシャルケが先制した分、スペースが出来て攻撃がカウンター主体でSBのオーバーラップという遅攻の選択肢は少なくなってしまい、内田は1度あったファルファンとのコンビからクロスを上げた場面以外は、あまりオーバーラップで使われる場面が無かったのが痛し痒しだったが、守備では後ろが連動してカバーできていた分、思い切ったアタックでこれまでのような弱さやアリバイを感じさせることが無くて良かったように思う。
これでシャルケはベスト16が決まったが、今期のCLは番狂わせが少なくて各グループの1位に本命が位置している状態なので、最終節は是非とも勝利して1位突破を決めたいところである。いや、チーム状態がここまで良くなると、決勝トーナメントが本当に楽しみだ。

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