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「そりゃリバプールも欲しがるわけだ」ロシア・プレミアリーグ ゼニト・サンクトペテルブルグ-CSKAモスクワ(3-1)

1位と3位の直接対決とは言え、両者の勝ち点差は9もあり、この試合でCSKAが引き分け以下だとゼニトの優勝が決まる試合だったが、意外なことにアウェイのCSKAが勝ってしまった。
とは言え、ゼニトが弱かったわけではもちろん無く、試合は開始からゼニトがCSKAに対して中盤の数的優位を生かして攻め込む展開になる。が、14分に本田の縦パスを受けたヴァグネル・ラヴが一瞬のドリブルでマークを交わしてミドルシュート、これがポストぎりぎりに決まるスーパーゴールとなって、CSKAが個人の力だけで先制点をもぎ取ってしまう。
これで勢いが出たCSKAは、本田を中心としたパスワークで徐々にペースをつかみ、35分にはGKのスローイングのミスをラブがカット、それをマルク・ゴンサレスが抜け目無くゴールを決めたが、そこに至るまでの展開も本田からのワンタッチスルーパスでラヴが抜け出し、ドゥンビアのシュート(ミス)という良い流れからだった。
後半早々には、ラヴのオーバーヘッドパスからドゥンビアが抜け出す、CSKA得意の2人攻撃で3点目を追加し、これは楽勝かなと思われたのだが、そこからは本田が不満を垂れているCSKAの引き癖が出てしまい、それまではオフサイドラインを積極的に上げてゼニトの前線を釘付けにしていたDFがPAの中に突っ立っているだけになってしまい、ゼニトは楽々とPA内に侵入してはシュートの雨を降らし、気がつけばシュート数はゼニトが大幅に上回ってしまっている情けなさ。
それでもロスタイム間際にロジーナに決められた1点だけでCSKAは逃げ切る事ができたが、3点目が入っていなかったらかなり危ない内容だったと言えるが、ともかくこれでCSKAは3位以内を確定し、ルビンを上回って2位に浮上。残り3節で3位のルビンがゼニトとの試合を残している事を考えても、CLストレートインの2位の可能性が高くなってきた。
本田については、文字通りCSKAの大黒柱として攻守を完全に取り仕切り、皆がドン引きしてしまった後半30分過ぎにはトップ下に移った本田にほとんどボールが来る事が無かったが、それでも最後まで走り回る姿はキャプテンそのもので、これを見たらリヴァプールが食指を伸ばすのも当然だろうという存在感だった。
プレミアリーグには日本人が通用しにくいとの定説があるが、それはフィジカル的な面も大きいのは当然だが、個人的にはプレイのシンキングスピード、そしてサボり方の下手さが、日本人にとってのハードルになっているのではないかと思っている。
稲本はシンキングスピードと運動量に問題があったし、中田はサボるのが下手で、いつも真面目に守備に戻ってしまうために、いざ攻撃に切り替わったときにチャンスに絡めない事が多かった。プレミアは攻守の切り替えが早いと言われるが、全員があのボールスピードについていったら30分と持たないのが当たり前で、守備をするのは攻撃に出遅れた人間の役目とばかりに皆が上手くサボっている。
CSKAでの本田を見ていると、こういう良い意味での手抜きが非常に上手く、試合の流れが本当に読めているんだなと思う。プレミアでやるには攻守の切り替えのスピードがさらに必要だとは思うが、リバプールで十分やって行ける資質は備えていると思う。リバプールが来期CL出場権を取れるかは非常に微妙だが、冬の移籍にオファーが来るという事はそのために本田の力を本当に欲している証明だと思う。是非、このチャンスをものにしてもらいたいものだ。

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