「CSKA=オランダ?」ヨーロッパリーグ グループF パレルモ-CSKAモスクワ(0-3)

グループF最大のライバルと目されていたパレルモとの一戦は、何とCSKAがアウェイで3-0の大勝という意外な結果に終わった。
とは言え、両者にそれほど大きな力の差があったわけではなく、パレルモは次世代のスター候補であるアルゼンチン代表パストーレのスピードとテクニックを中心に、マッカローネ、アベル・エルナンデスのトリデンテがCSKAのDFラインを次々に突破してチャンスを作ったのだが、そこで得点出来なかった事が試合の運命を分けてしまった。
普通のチームであればここまで攻撃されればビビってラインが下がったり、中盤がDFラインに吸収されてしまったりするのだが、ここまで公式戦6連勝+無失点と異常に好調なCSKAは、良くも悪くも肝が据わっていて、何度ピンチになってもラインを上げたままの抜かれたらアキンフェエフ頑張ってね状態で(笑)、本田もあまり戻らずに前にいる体勢を保っていた。
これは、コンパクト全盛の時代にあって、なぜオランダサッカーが通用するのかという興味深い考察にもなっていて、CSKAはピンチでもポジションバランスを崩さないので、何だかんだでセカンドボールが味方の前に転がってくる事が多くなり、どっかの代表のように守備に人数をかけ過ぎないために、いざ攻撃に転じたときにパスコースがたくさん出来ている事になるわけだ。
さらに、キープ力のある本田もあまり中央から動かないために、他の選手もボールを拾って真ん中の本田に預ければ安心して前に上がれるので、攻撃への切り替えによどみが無い。
パレルモは、結局このCSKAの罠にまんまとはまってしまい、1点目はサイドから人が沸いて出てくるCSKAにゴール前で左右に振られて最後はヘディングを決められ、2点目は守備に人をかけていながら集中力を切らせてドゥンビアに個人技で突破されてしまった。
何度かオフサイドで微妙な判定はあったにせよ、最後は審判の判定に拍手する侮辱行為でパストーレが2枚目のイエローで退場になってしまったのは、次節のモスクワでのアウェイ戦を考えてもパレルモにとってはもったいないプレイで、まさに踏んだり蹴ったりの結末であった。
本田は、おそらく来期CL争いの最大のライバルである、ルビン・カザン戦を週末に控えているのもあってか、終始省エネプレイで、それでも要所を締めると言う、すっかりCSKAの大黒柱としての働きになっていた。つーか、手の抜き方やボールを持った時の時間の作り方がガンバでの遠藤そっくりで、次世代日本の大きな課題になっている、ポスト遠藤の役割を果たすのが実は本田なんじゃないかと思ってしまったりする。
もっとも、日本の中では圧倒的に抜けているボールキープ力とシュート力を、今の日本で前線に活かさない手はないわけで、前線にも中盤にも本田を超える選手の登場が待たれている事は間違いないだろう。