「牙を抜かれた本田?」ロシア・プレミアリーグ CSKAモスクワ-ロストフ(2-0)

私は、あのスルツキー監督の坊ちゃん顔に、まんまと騙されていたのかもしれない(笑)。
ボランチでの出場に不満タラタラ、移籍強行も辞さないと書かれ続けていた本田だったが、この試合では中盤でボールを預けられると遠藤のようにシンプルにはたいたり、時には中田ばりの相手より先にボールに入るドリブルで進んでみたり、攻め上がっても守備に切り替わるとさっと自分のポジションに戻ってみたりと、どこからどう見ても本職のCHにしか見えない働き振りで、本田の中ではいろいろと渦巻くものがあるのかもしれないが、それとは外から全く分からないほどに馴染んでしまっていた。
そして、いつの間にかロシアの若きエースとされていたジャゴエフは控えにすっかり甘んじてしまっていて、この試合では71分にドゥンビアと交代して入ったが、先発時代のようにトップ下にどっかりと陣取って本田が攻めあがる蓋になっていたプレイではなく、本田とポジションチェンジをしてCHに下がってみたりと、すっかり流動性のあるプレイを身につけるようになっていた。
ヴァグネル・ラヴとドゥンビアの新戦力をあっという間にフィットさせ、ジャゴエフと本田というCSKAモスクワの2大火種をいつの間にかチームが望ましい形で手なずけてしまっているあたり、もしそれを本当に計算してやっていたのであれば、スルツキー監督はもしかするとモウリーニョに匹敵するぐらいの人身掌握術を身に付けているのかもしれない。CSKAは2位のルビンとは勝ち点2差だが、CSKAのほうが消化が2試合少ないのでCL圏内は十分に射程圏内であり、そこでの活躍によっては監督自身のビッグクラブへの道が開かれるかもしれない。いやマジで。
ただ、本田は大人しいというかクレバーなプレイ振りは良かったのだけれど、FKは壁に当たるか宇宙開発で、ミドルパスやスルーパスもいまいちタイミングが合わない事が多く、調子を落としてしまっている印象があった。点が取れない悩んでいるという報道が一時あったが、それ以前に点を取るところまで調子が上がっていないのが、今の大人しさにつながっている面があるのかもしれない。日本での試合で浮上のきっかけをつかんでもらい、以前の本田らしいビッグマウスに戻って欲しいところだね。