「ナビスコは罰ゲーム?」J1第22節 大宮アルティージャ-清水エスパルス(3-0)

最下位のチームと上位チームの争いは、意外なことに大宮が快勝。とは言え、内容を見れば、両者には点差どおりの開きがあったと言える。
ここまでナビスコカップと天皇杯で2週間に5試合を消化してきた清水は、ヨンセンを温存して長沢をスタメンに起用したが、これが完全に裏目に出てしまい、長沢はたまにサイドのスペースに飛び出すときはなかなかスピードがあってオッと思うんだけど、オフザボールの動きがほとんど無くて足元にボールを納められず、ヨンセンと言うよりはちょうど運動量の無い矢野のような感じで(笑)、清水は中央での組み立てがほどんど出来ない元凶になっていた。
おまけに序盤のうちに小野が足を痛めてしまって展開力やアイデアが失われてしまい、清水はポゼッションこそするものの、実態は手数をかけて何とかサイドまでボールを運んでいるような状態で、スペースが無ければ岡崎も活きるはずが無く、とうてい大宮の守備を崩すというところまでは持ち込めていなかった。
それに対して大宮は、明らかに清水を運動量で上回り、イチョンスとラファエルのカウンターに対しても味方のフォローが早く、藤本や金久保らがからんでチャンスを確実に作り、それでも清水は何とか大宮のカウンターを紙一重で交わしてはいたのだが、前半終了直前にオフサイドトラップのミスでラファエルにDF裏へと抜けられ、まるでヴォルフスブルク戦の香川をリプレイしたような、同じトラップ、同じコースにラファエルが先制点を決めてしまう。
後半になると、清水は山本とヨンセンを投入し、ヨンセンは長沢とはまるで違って中盤に戻ってポスト、そこから前線へと飛び出す動きを繰り返して清水の攻撃を活性化させ、これは清水に流れが変わるかなと思ったら、タイミング良く17分にCKからマトに決められ2-0。
これで攻める必要が無くなった大宮が自陣に引きこもって守りを固めてしまい、28分には絵に描いたようなカウンターからイチョンスが3点目を決めて勝負あり。清水にとっては勝ち点3を計算していた試合のはずが、内容も結果も大宮の完勝という90分だった。
まあ大宮は出来すぎの面があったかもしれないが、やはり清水の自滅だったと言うべきだろうね。特にヨンセンと同じ仕事が出来ない事が分かってたはずなのに、長沢がヨンセンの完全な代役として起用されてしまったのは、彼自身にとっても気の毒なように思う。これで3位以内に残れば来年はACLが待っているわけで、選手層の厚みや戦い方のバリエーションを増やすという課題が、長谷川監督には重くのしかかっている。