「これぞプロビンチア魂」イタリア・セリエA第2節 チェゼーナ-ACミラン(2-0)

長友のプレイがどうこうと言うより、チェゼーナのプロビンチアホームらしい攻守一丸となった魂を感じる内容が素晴らしかった。
チェゼーナは4-3-3のフォーメーションで、後ろの7人がコンパクトなブロックを作ってミランのイブラヒモビッチ・パト・ロナウジーニョの超強力3トップにスペースと時間を与えず、ボールを奪ったらジャッケリーニのスピード溢れるドリブルを中心にした鋭いカウンターで攻める意図が全員に徹底されていた。
前半の30分には、ジャッケリーニのドリブルからフリーで前線に飛び出したチェッカレッリにサイドチェンジが渡り、チェッカレッリは胸トラップからダイレクトで浮き球のクロスを上げ、それをボグダニがDFに競り勝って頭で押し込み、44分にはカウンターからボグダニが一発のパスで裏に飛び出したジャッケリーニに合わせ、ゴール右隅に絵に書いた様な素晴らしいゴールを決めて見せた。
ミランはスペースが無くて終始存在が薄かったロナウジーニョを下げ、ロビーニョやインザーギを入れて4トップのような形で猛然と攻め、チェゼーナもさすがに疲れが出たのか、後半15分ごろからはなかなかラインが押し上げられなくなり、PAまで入り込むミランの選手を捕まえきれず、86分にはGKの前に飛び出したインザーギを長友が手で押さえようとしたところ、ダイブをさせたら世界一のインザーギの罠にはまってPKを与えてしまう。
これが決まっていれば、チェゼーナも最後まで持たなかったかもしれないが、PKはイブラヒモビッチがポストに当てて外してしまい、ここでミランも万事休す。チェゼーナが、ホームで見事な金星を挙げて見せた。
長友は、おそらく監督の指示だろうが、得意のオーバーラップは85分までは完全に封印して、右サイドのパトや流れてきたイブラヒモビッチのケアだけに専念していた。最後は我慢しきれずに何度か上がってしまっていたけどね(笑)。
ただし試合の序盤は、フラット3ばりに息を合わせて細かいラインの上げ下げをするDFの3人から一歩タイミングがずれていて、危うくオフサイド崩れになりそうでひやひやする場面もあったのだが、1対1ではまずまず安定したプレイを見せていた。
後半になって味方の足が止まると、後ろ向きからのヨーイドンになってしまうのでパトの鋭いステップに千切られてしまったり、中とのパス交換で相手をフリーにさせてしまったりしたが、課題だった左ボランチのパローロとのコンビも段々良くなってきたように思う。
チェゼーナのスタジアムは、イタリアの地方にしては珍しくイングランドのような屋根つき総二階建ての立派なものだし、チームとしてのまとまりも素晴らしく、つくづく長友は良いクラブに移籍したと思う。チームもセリエの台風の目になりそうで、今後が大変楽しみである。