「経験≒実力」EURO2010予選グループA ドイツ-アゼルバイジャン(6-1)

アゼルバイジャンの試合なんて、おそらく日本ではユーロの予選以外で見ることは無いと思うんだけど、トルコの東隣、イランの北隣という立地が示すように、まさに中東のチームと言う感じでなじみのあるスタイルのサッカーをしていた。
つまり、個々の選手のキープ力や個人技、スピードはかなりレベルが高く、ドイツ相手にも何度か鋭いカウンターを見せてシュートチャンスまで持って行く力はあったんだけど、いかんせんドイツ相手に点を決められるだけの決定力を持ったタレントがいない。
それ以上に問題だったのが守備組織で、ドイツホームの試合だから守備的なのは当然としても、ラインをほとんど上げられずに簡単にPAの中まで守備陣が下がってしまい、しかも早い段階でマンマークに移行するために、PAの中にドイツの選手が入ってしまうとその時点でオフサイドラインが用を為さなくなり、ドイツの選手がマーカーを引き連れて空いたスペースにさらに入り込まれてしまうと、いとも簡単に数的不利になってフリーな選手を作られてしまっていた。
アゼルバイジャンは、それでも前半28分まではドイツの決定力不足もあって何とか耐えてはいたのだが、ベスターマンによる先制点が決まるとそれ以降はほとんど抵抗することが出来ず、手を抜くことを知らないゲルマン人の前に気がつけば6-1の大敗で終了。
先にも述べたように、個人個人の能力ではアゼルバイジャンとドイツではそんなに大きな差は無いと思うのだが、経験の差の積み重ねがここまでの大差になったという意味で、欧州とアジアとの差に似ている部分があるなと思った。
日本はようやく、欧州相手に大敗しないだけの経験を得られるようになって来たが、ここから普通に勝ち負けが出来るようになるまでの経験はまだまだ果てしないものがあるのだろう。ザックに求められるのは、目の前のアジア相手の結果ではなく、そういう部分を詰める働きなのである。