「1年半かかってやっとスタートライン」国際親善試合 日本-イングランド(1-2)

当日の試合前に、ダメもとで書いたイングランド戦の展望というエントリーのポイントが、そのままはっきり出た試合になるとはぶっちゃけ意外だった。
前半の、モチベーションもコンディションも最悪だったイングランドの出来を見て、これでテストになるのかなと心配したが、闘莉王の先制点とハーフタイムのカペッロの建て直しで、後半は本気度70%ぐらいのイングランドになってくれた事が良かった。イングランドの得点はいずれもオウンゴールだけど、あのサイドの早い突破からのクロスにルーニーやジェラードあたりが凄い勢いで飛び込んでくるのがイングランドの形なので、アジアレベルでは感じられない迫力を経験できた事は良かったと思う。
ともかく、オシムが倒れて以来、1年半のヘンテコ球技という長い回り道を経て、ようやく日本がサッカーをするチームに戻ったという感じで、これでやっとこさチームとしての具体的な是非を語れるようになって嬉しいね(笑)。実際はもう遅すぎるんだけど、本番でサッカー以外の球技をやって負けることに比べればねえ・・・
さて、そのポイントの1つであったコンディションだが、まず日韓戦で亡霊だった選手を使わなかった事がまず良かった(笑)。そして心配だった遠藤が、積極的な縦パスを入れられるぐらいに調子を戻してきていて、もちろんまだまだ万全とは言えないまでも、回復のリズムになって来ているのは確認できた。他の選手については、高地トレの後なのに今から絶好調だとかえってまずいのでそれほど問題にはしていないが、中澤については、今年に入ってからずっと調子が悪いし中村のように替えがいないので、それだけが心配だね。
そしてサイドの守備についてはご覧の通りと言うか、70分を過ぎて日本に疲れが出始めると、全くパスがつなげなくなって1ボランチの横のスペースを使われ、不用意にSBが前に出てしまったところをシンプルにつなげられてクロス>オウンゴールと、遠藤と長谷部のポジションが日本の生命線だと誰もがはっきり分かる失点だったんじゃないだろうか。遠藤と長谷部が最後までしっかり動けて、縦のパス交換でボールを落ち着かせられれば波状攻撃は食らわないし、そうじゃないと全く逆になってしまう。
あと問題は本田かな・・・嫌いな守備をしっかりやっていたのはいいのだけど、サイドだとマークに付かれた状態でボールをもらっても、単に後ろに下げるだけでそこで足を止めてしまう状態になっていた。これが、ボールをはたいてからの動き出しが出来ると、パスコースが生まれて相手の守備も下がり、そこから今野が上がれる展開が期待できるのだけど、単にそこで蓋になってしまったらそのスペースが完全に死んでしまう。後半からはポジションチェンジをしてようやく前を向いてプレイできるようになったが、戦術的に整備されていない今の日本で、中村+ハエサッカー時代のような激しいポジションチェンジは両刃の剣である。時間帯や相手の出方によって臨機応変に変えられればいいのだが、多分そんな準備をする余裕は無いだろうね。
まあ残念ながら、本番で日本が綺麗に崩して得点と言うのは、よほど相手がコンディション調整に失敗してくれないと無いだろうから、得点は運とセットプレイ頼みと割り切って、今日70分間出来た形をベースにして、そこからコンディションとコンビネーションを積み上げて行って、最後はどの程度まで守備が到達するかという部分に尽きるだろう。