「経験の重み」ACL2010グループH サンフレッチェ広島-アデレード・ユナイテッド(1-0)

ついこの前までは、アジア相手にナイーブでイノセントな試合をしていた広島が、これだけクレバーな試合運びが出来た事にまずは驚いた。やはり、いかにサッカーと言うスポーツにおいては経験がモノを言うかという事を痛感させられた。
前回の対戦では、アデレードのクサビに対してはほぼ無抵抗の反応しか出来ていなかった広島だったが、この試合では縦のボールに対しては常に数的優位を作って自由にプレイさせず、1対1ではまずボールホルダーにアタックを仕掛けてボールコントロールを乱し、そこに他の選手がサポートして奪う対応が徹底されていた。
攻撃でも、オーストラリアなどのフィジカルチームはまず最初のアタックでガツンと来るが、欧州の強豪のようにプレスが連動しているわけではないので、こちらが2~3回ポンポンとパスを交換するとそこで足を止めてしまって怖さがなくなるのだが、広島もガンバに続いてようやくそこに気付いたようで、今までのような攻め急ぎ、逃げの横パスムービングといったものが少なくなった。
そして中盤では長くボールを持たずにワンタッチでサイドへ振る、かつて名古屋がACLで見せたようなプレス対策が効果を発揮して、上手く緩急を付けることに成功していた。山岸が絶好機の空振りで叩かれているけど、彼のサイドでの運動量がこの試合でのチームを大きく助けていた事は確かである。
とは言え、相変わらず西川はバクチのようなハイボール処理をするし、セットプレイも運に助けられた場面が多々あり、後半の最後は押し上げがなくなってかなりサンドバッグ状態になってしまったのは反省点だろう。
もう1試合は浦項が山東に勝ったので、広島の勝ち抜けはさらに厳しくなってしまったが、次節で浦項がアデレードに破れればまだ自力の可能性が出て来る。広島の浦項との得失点差は4なので、とにかく山東相手に2点差以上で勝利する事である。