「鹿島の優勝は見事だけど・・・」J1第34節 浦和-鹿島(1-0

どちらが勝ってもおかしくない、最終節を飾るにふさわしい好ゲームだった。
ACLを見ても分かるように、鹿島は個人のコンビネーションとバランスで戦うチームだけに、ガツガツと前に来て個人能力で1対1を打開してくる戦法に弱いところがあり、前半の浦和は鋭い出足と気迫でセカンドボールを支配し続け、まさにその鹿島の弱みを突くサッカーを見せていたと言える。
が、田中達や山田直、原口らがチャンスメイクをするのはいいのだが、ゴール前にいるのがエジミウソン1人のことが多く、せっかく上げたクロスが簡単に弾き返されてしまう場面が多く、結局前半のうちに点を取ることが出来なかったのが致命傷になってしまった。
逆に鹿島は、前半の浦和の猛攻を耐え忍び、徐々にカウンターのチャンスを作り始め、66分の決勝点はカウンターからの内田のアーリークロスい対して3人の選手がゴール前へと飛び込んでおり、そのうちの2人がオフサイドにかからずに浦和DFよりも前に出ていた抜け目の無さで、同じようにカウンターから数的優位になりそうな場面でもタイミングが取れずにシュートまで持ち込めなかった浦和とは対照的であった。
これで鹿島は前人未到のJリーグ3連覇。それはそれで非常に立派な偉業で、オリヴェイラ監督の手腕および選手の力量、フロントの見識には感服するしかないのだが、逆に言えばその鹿島の成熟に対して打ち勝てるだけの成長が他のチームには見られなかった事でもある。
来年は南アフリカW杯でオランダ、カメルーン、デンマークという、個人でも組織でも日本を上回る相手と戦うことになるわけで、来期の前半こそは、そういう危機意識をJリーグ全体で共有し、この試合で浦和が見せた以上に、より激しくアグレッシブなサッカーを見せてもらいたいものである。