「極上のエンターテイメント」 リーガ・エスパニョーラ第12節 バルセロナ-レアル・マドリー(1-0)

今年のバロンドール候補者10人のうち、なんと6人がこの2チームにいるという、まさに世界の頂上決戦となったエル・クラシコ。
試合はまず当然のようにホームのバルサがじっくりとボールをキープし、レアルは4バックと3ボランチでコンパクトな守備陣形を敷き、そこから鋭くカウンターを狙う展開に。
と書くと、普通のチーム同士ならばチャンスの少ない拮抗した展開になってしまうのだが、そこはさすがにバルサとレアル、メッシやイニエスタは狭いスペースに相手が何人いようと切れ味鋭いドリブルで抜きにかかるし、カカーやCロナウドは1対1でわずかでも後れを取ればあっという間に抜き去られてしまうスピードを見せ付ける。
しかしバルサは、左のウイングにイニエスタが張って中盤をケイタにした影響か、個人技はあってもパスワークでなかなかレアルの守備を崩す事ができず、1トップのアンリも左に寄りたがるので、サイドを攻略しても中に人がいない場面が目立って決定的なチャンスをなかなか作れない。
そんな中、レアルはカウンターからカカーが鋭く切り込み、どフリーのCロナウドにラストパスを流したが、Cロナウドは完全な1対1を決められずにバルサGKバルデスに防がれてしまう。この逸機が、結果的に運命を分けてしまった。
後半になってバルサは精彩を欠いていたアンリに代えて怪我明けのイブラヒモビッチを投入。その5分後には、ダニエウ・アウベスからのアーリークロスをダイレクトで決め、クラシコ初得点を挙げてしまった。
そこまではパスをつないでつないで、メッシやイニエスタの足技で狭いところからチャンスを作ろうとしていたバルサが見せた、初めての大きく速い攻撃で得点を決めてしまったのが実に面白い。それ以降もイブラヒモビッチは基本的にセンターに居座る事で前線の基点となってバルサの攻撃に幅を作り出し、ブスケツの退場で1人少なくなってからは、さらにボールの預けどころとして役立つ存在になっていた。
レアルは点を取られ、しかもバルサが10人になってからは当然押し込む場面は増えたが、逆にスペースが無くなって攻めが窮屈になり、かえってリズムは11人対11人だった時よりも悪くなってしまった感じ。Cロナウドがやはり怪我明けで調子が戻ってないのか、プレイのキレが無くて決定機も2度外してしまったのがイブラヒモビッチの活躍で勝ったバルサとは対照的だった。
この対戦だとスター選手の個人的なプレイにばかり注目が集まるのは仕方ないだろうが、それを支えるチームの共通理解やゲームプランの徹底、危ないと誰もが思う場面でも体を投げ出してボールを止める執念という面でも、非常にハイレベルで見ごたえのある、一級品のエンターテイメントだったね。しかし日本は、まだまだここから果てしなく遠い位置にいるよなあ・・・世界4位ってどうすんの、って感じ(笑)。