欧州CLグループB ヴォルフスブルク-CSKAモスクワ(3-1)

つい先日までジーコが率いていたモスクワと、言わずと知れた長谷部所属のヴォルフスブルクという興味深い対戦。もっとも、ジーコは既に解任され、長谷部もロスタイムだけの出場と、ともにこの試合ではほぼ無関係ではあったのだが(苦笑)。
CSKAモスクワは全体的に選手の年齢が若く、やはり日本のように個人経験が少ない選手をジーコが率いるとこうなってしまうよな、という典型的なパターンで、とにかくパスは確実につないでポゼッションするんだけど、2本以上ダイレクトでパスがつながる事が少なく、その場その場での個人でのひらめきだけで攻めているような感じ。特に前半は、ポゼッションでヴォルフスブルクを上回りながらも何とシュートは0本という、日本代表もビックリなジーコジャパンぶりであった(笑)。
リーグ戦3連敗中のヴォルフスブルクも、とてもモスクワの事は笑っていられず、この試合のフォーメーションは1トップのジェコの下にグラフィチとマルティンスを並べ、中盤はミシモビッチ、ゲントナー、アンカーにジョズエを置いた4-3-3だったのだが、以前だと7人でかっちりしたプレスをかけ、そこからジェコとミシモビッチが自由なポジション取りとイマジネーションでトップのグラフィチを活かす攻撃が上手く行っていたのだが、3トップにした事でジェコがトップで窮屈そうなプレイを強いられ、中盤の守備担当がジョズエだけなのでプレスで奪うよりもDFラインで網を張る守備の形になり、サイドから崩しはするのだけどなかなか数的優位を作り出せない悪循環に嵌っていた。つーか、4-3-3じゃ中盤で長谷部の居場所が無いし!
どうも内容がぱっとしない両チームの勝敗を決めたのは、やはり決定力の差。ヴォルフスブルクはモスクワのパスミスを逃さず、ミシモビッチのスルーパスに抜け出したグラフィチがGKの股抜きシュートで先制すると、PA内での上手い演技でPK、そしてPA内でのトラップでボールを外に置くと、反転してそのまま蹴りこむ技を見せてハットトリック。
逆にモスクワは、PA内で2人が重なってどフリーのでシュートが打てなかったり、そうかと思えば1点差に迫ったところで当てるだけのシュートを吹かしたりと、運動量が落ちて攻めあがったモスクワの中盤選手にマークが付けられずに何度もピンチを迎えたヴォルフスブルクに対し、自滅気味の拙攻でまんまと逃げられてしまった。が、クラシッチやジャゴエフ、ネチドなど若くて才能のある選手が多く、ガーナ戦の後半の日本ばりに攻め込んだ後半の試合振りはなかなか迫力があり、新任のファンデ・ラモス監督にとっても鍛えがいのあるチームだろう。ヴォルフスブルクにとってもアウェイのリターンマッチは要注意である。