「精神的な余裕の差」J1第12節 浦和-ガンバ大阪(0-0)

浦和とガンバの試合と来れば、ガンバがポゼッションして浦和が堅く守ってカウンター、というのが従来のパターンだったが、驚くことにこの試合ではそれが完全に逆転してしまっていた。
闘莉王と坪井のCBコンビの位置取りは、それが何故代表で出来ないと言いたくなる位に非常に高く、浦和はガンバの攻撃を終始高い位置で跳ね返し、前節はあまり存在感が無かったエスクデロも、SBの上がりが活発になった事もあって孤立せずに済み、売り出し中の山田直を中心に非常に分厚い攻撃を見せていた。
が、それでもあまり慌てないのがACLを経験してきた今のガンバの強みで、山田直のポスト直撃などの決定的なピンチがいくつかありはしたが、GK藤ヶ谷を中心に押し込まれながらも粘り強く守り、レアンドロが負傷退場するまでは度々危険なカウンターのチャンスを作り出していた。その点、一貫して必死だった浦和に対しての余裕がガンバにはあったように思う。
今節になって、さらにフィンケサッカーが浸透してきたように思う浦和だが、この試合を見ると、まだガンバが持っている大きな武器を手に入れる余地があるなと思わざるを得なかった。と言ってもレアンドロや遠藤の事じゃないよ。そりゃ手に入れるに越したことは無いけどね(笑)。
それは、DFやボランチからタイミング良く前線に当てる縦パス。ガンバが、浦和にポゼッションで圧倒されながらも最後まで大きく崩されなかったのは、時折縦パスを前線に入れることで浦和のプレスを押し下げ、守備のポジショニングを修正する時間が作れたことが大きい。逆に浦和はそういうパスがほとんど無かったことで、パスは回しているんだけど結局はガンバがきっちり準備して待ち構えている状態での攻撃になってしまっていた。
闘莉王や阿部といった正確なフィードが出せる選手がいるのだから、もう一歩進歩して縦パスという柱が作れるようになれば、さらに浦和はスケールアップ出来るはずだ。
一方、ガンバは攻撃の大黒柱であるエースレアンドロが長期欠場という恐れていた事態が起こってしまった。ACLの1位抜けを決めていたのが不幸中の幸いだが、得点力の低下は当然避けられない。これを機に、より一層中盤の力を挙げていく努力が必要だろう。