「とりあえず一歩前進」ACLグループG 鹿島-上海申花(2-0)

この試合に負けてしまうと崖っぷちに立たされるところだった鹿島だったが、ようやく初勝利を挙げて一息といったところ。
とは言え、内容は決して楽勝というわけではなかった。鹿島はパク、小笠原、大迫の3人を先発として入れ替える決断をしたが、パクは期待通りの守備力を見せはしたものの、小笠原はまだ判断やパス精度にブレがあり、大迫は動き出しやポストプレイの確実性がほとんど無くて試合から消えっぱなしで、序盤は完全に起用が失敗のように見える出来だった。
チーム全体でも、FW1人残して後はびっちり引いて守る上海に対して縦へのパスがほとんど出せず、マルキーニョスが何とかサイドに流れて起点を作っていたが、中国人選手のフィジカルとスピード、足の長さにそこからパスがつなげず、昨年の北京戦を思い出させるような重苦しい展開だった。
そんな流れを一気に変えてしまったのが、ご存知ルーキーの大迫。44分に、一瞬気が緩んだ相手DFのマークを外して縦パスを受けると、持ち前の素早いターンでオーバーラップした野沢にパス、これを野沢がきっちりと決めて鹿島が貴重な先制点をゲットする。
これで鹿島は少し固さが取れたのか、シーズン最初に見せたような攻守の切り替えの早さとDFライン裏への動き出し、積極的なオーバーラップを徐々に見せるようになり、決定的な相手のチャンスもこの日は別人だった曽ヶ端が安定したセーブで退け、苛立ち始めた上海が荒いプレイに走るようになって23分に杜威が2枚目のイエローで退場してからは完全に強い鹿島の姿が蘇った。
鹿島はブラジル式コンビネーションサッカーなだけに、どこかで攻撃のポイントが作れないと、全員がズルズルと意識を交代させて歯車が狂っていくのがアジアで結果を出せない要因だと思っているが、この日はそういう状態でも変に受けに回らず、フィジカルコンタクトを厭わない姿勢を終始持てた事が、リズムの回復につながったポイントだったように思う。
まあ、とりあえず鹿島はまだ一歩進んだだけ。まずはシンガポールとの対戦できっちり勝ち点6を積み上げ、最終決戦に臨みたいところだろう。