EURO2008 グループC オランダ-イタリア(3-0)

う~ん、イタリアは全く「らしくない」試合をしてしまったね。
オランダの先制点は、ブッフォンと交錯したパヌッチが自発的にピッチ外に出てしまったためにインプレーと判断されてファン・ニステルローイの位置がオフサイドと認められなかったものだし、トニのGKとの二度の1対1はことごとく決まらず、ピルロのFKはこの日当たりまくっていたファンデルサールに防がれ、主審の判定がボディコンタクトに厳しく、イタリアの演技っぽい倒れ込みが全て流されるなど、確かにイタリアには不運が重なった面はある。
しかし、トッティとネスタという長年イタリアを支えてきた選手が抜けたチームからは、どれだけ相手に押し込まれてもDFが紙一重でしのいで得点を許さず、一瞬のチャンスをファンタジスタが得点に結び付けるといった、イタリアサッカーのツボといったものが全く感じられなかった。
特に、靭帯断裂の怪我を負ったカンナバーロの代役で入ったバルザーリは危機管理とカバーリング能力が著しく劣っており、オランダの2点目と3点目の場面では、相手の飛び出しに遅れてカバーが全く間に合っていなかった。そして4-3-3のウイングに入ったディナターレとカモラネージはトニとのコンビがかみ合わずにファンタジーにも欠け、ザンブロッタだけが一人攻撃で気を吐いていた始末。
パヌッチと交代で入ったグロッソやデルピエロが良いプレーを見せていただけに、ドナドーニ監督の判断が攻められるのは致し方ないところだろう。ここで、世界チャンピオンという慢心を捨てて、ひたむきで謙虚な姿勢を取り戻す事ができるかどうか。
オランダについては、得点が積み重なっていっても最後まで気を抜かずにプレスをかけ続け、パス回しに酔うわけでもなく常にゴールに向かう攻撃を見せていたという点で、こちらはイタリアとは逆の意味でらしくないプレー振りだったと言える。
MOMに選ばれたスネイデルの活躍はもちろん、ファンデルサールやファン・ニステルローイといったベテランが好調なのも心強いところ。この試合で何度も見せた、サイドチェンジの理想と呼べる見事なロングパスを出せる技術に、90分間戦う姿勢が備われば鬼に金棒だろう。「ニューオランダ」旋風が今大会でどこまで吹き荒れるのか楽しみだ。