サッカー批評issue38 小野技術委員長インタビュー

今号のサッカー批評に、岡田監督就任を決めた小野技術委員長のインタビューが載っているという事で、そこだけざっと見てみました。
結論から言うと、岡田監督を選んだ疑問が解けるどころか、代表強化の責任者がこんなふざけた認識を持っていたのかと暗澹たる気持ちになりました(苦笑)。
まず、選任理由である「オシム・サッカーという土台に新しいサッカーを築ける人」という部分が、日本人らしさを生かすという部分だけが土台なんだと言う精神論ぶりに腰を抜かしてしまいましたよ。
本来であれば、それまで代表がやっていたサッカーが世界に対してどれだけ通用していて、今後はどういう方向性とで伸ばして行くのか、そのタイムプランはどういうものだったのかという、サッカーの具体面の話がまず出てくるべきですよね。これじゃ、大和魂でアメリカに勝てると思ったいつかの日本と同じです。
まあ、そういう勘違いを世間に広めてしまったのは、「日本サッカーの日本化」であったり、「日本人にはサッカーをする能力がある」と説いてしまったオシムにも責任があるんですけどね(笑)。
オシムは事あるごとに、日本は欧州の真似をする必要が無いとか、日本人のポテンシャルを引き出さなければと語っていますが、実際にピッチ上でやっているサッカーは、4バックでコンパクトに守り、豊富な運動量と攻守の切り替えの速さでスペースを利用するという、アーセナルを頂点とする現代サッカーのセオリーに沿ったものになっています。
批判が多かった選手起用についても、FWは前線からのプレスとクサビや競り合いに耐えうるフィジカル、SBは絶え間なく攻守にからめる走力、中盤は危険なエリアでボールを奪われない判断とテクニック、CBは高さに加えてビルドアップの能力と、これも現代サッカーにとっては必須とされる条件ばかりです。
もっとも、それはオシムが嘘を言っていたわけではなく、日本人には「現代では当たり前の」サッカーをやる能力があり、その先に日本人らしさを生かす余地があると思っていたと見るべきでしょう。
ただ、日本にはラインが低くてFWがしょぼいのに15秒サッカーをやろうとする監督を始め、世界をあっと言わせてやろうと思っている監督など(笑)、当たり前のサッカーを当たり前に教えられる人がいないのがどうにもこうにも(苦笑)。サッカー批評でも、もっとそういうところを突っ込んで欲しかったですねえ。
サッカー批評 issue38―季刊 (38) (双葉社スーパームック)