オシムジャパンにおける海外組の今後

中村・高原の海外組が初合流と言う事で注目されたペルー戦だったが、戦評にも書いたとおり、ジーコジャパンレベルとは言わないまでも(笑)、オシムジャパンと言うよりは中村ジャパンのような感じになって、サウジ戦で見せた「らしい」試合からは一歩も二歩も後退した印象になってしまった。
確かに、中村が中盤でボールをキープして左サイドに大きなサイドチェンジといった「普通の」良い展開はあったが、引いた相手に対してクリスティアーノ・ロナウドやカカーといった破壊的なクラックがいない日本が普通の展開をしても得点に直結する事は難しいわけで、だからこそ中村が2人目、3人目の動きとなってもっと早いタイミングでスペースにボールを動かすオシムメソッドが必要になるのだ。
もっとも、それは中村一人の責任ではなくて、トルシエ時代やジーコ時代の中田の存在がそうだったように、苦しい展開になればなるほど周りの選手はボールキープをして展開出来る選手にボールを預けてしまうし、その選手は自分が一発でベストなパスを出そうとしてしまうのだろう。
おそらく、オシムとてこういう事になるのは想定内だったはずで、だからこそ試合前に「国内組が彼らを意識し過ぎ、リスペクトし過ぎている」という質問に、あえて反発して釘を指していたのだと思う。それにしても、海外組がここまでの結果を出すとは思わなかったかもしれないが。
2得点につながったセットプレイの精度はもちろんとして、内容面でもプレイの実効性や落ち着きと言う点では海外組と国内組では大きな差があったのも確かで、オシム的には逆説的な意味で、中村を必要としないチーム作りを目指して来たはずではあったが、理想と現実にギャップがあった事は認めざるを得ないところだろう。
その意味で、やはり注目されるのはアジアカップをどういうメンバーで戦うかという点なのは間違い無い。中村をオシムメソッドに融合させる事を第一に考えるのであれば、彼らをメンバーに呼ばざるを得ないだろうし、中村が入れば違うサッカーになる事について当面の間は許容する方針であれば、あえて今のフル代表に足りないクラック、松井や水野、家長といった選手を優先的に試す事も考えられる。
さて、オシムはアジア最終予選までの残り時間を見ながら、どういった強化プランで進めていくのであろうか。