ツールドフランス第20ステージ

いつものようにパリ・シャンゼリゼの周回コースを回り、いつものように何度も逃げが繰り返されて、いつものように逃げは潰されて最後はハスホフトがスプリントで勝った最終ステージとなり、ようやくいつものツールと同じ顔が見られてほっとするような感慨があった。
もちろん私の中では、ツールが世界一美しいスポーツだという認識は何も代わりはしなかったし、ランディスの大ブレーキと復活劇と言う例年に無いようなドラマもてんこ盛りで、エンターテイメントとしてはかなり楽しめたツールではあったのだが、やはり王者ランスが抜けてそれまでのライバルもドーピングスキャンダルに多くが巻き込まれたために、競技性という部分での物足りなさがあった事は否めない。
確かにクレーデンもサストレも非常によく健闘したのだが、3週間の間調子を維持し続けなければならないエースとしての義務に応える働きをしていたかというと正直疑問で、ランディスがブレーキの翌日に意地と気迫を見せ付けたようなプライドに欠けていたのは、しょせん直前にアシストからエースへと引き上げられたために覚悟が根本的に違っていたからだと言っては言いすぎだろうか。ランスのいたディスカバリーに至っては、全てが散り散りのバラバラで3週間が終わってしまった。
バッソの復活次第ではあるが、とりあえず来年以降のツールが今年同様の混戦になる事は間違いないだろう。ただ、これからの戦国時代を勝ち抜くためには、何よりも勝利に対する執念と欲を持った選手とチームである事が重要であるように思う。今年は開催前にいろいろとあったために、チームも個人もツールに向かう心構えが足りなかったところもあるだろうが、来年は是非ともドーピング抜きでのしっかりした準備を期待したいところだ。