ツールドフランス第16ステージ

いやいやいやいや、昨日の戦評でよほどの事が無い限りはランディスの優勝は固いだろうと書いたのだが、まさかそのよほどの事が起こってしまうとは・・・
この日は序盤から飛び出したラスムッセンがステージ2つ目の超級の峠からバリャベッチ、キャザーを置いて単独の逃げとなり、3つの峠を含んだ70km以上の距離を逃げ切って、ステージ優勝と同時に一気に山岳賞ジャージをゲットするスーパーな走りを見せ、それはそれで感動的なシーンだったのだが、ランディスの大ブレーキのインパクトがあまりに大きすぎた。
最後のラトシュイール峠までは、いつもと同じように総合争いをする集団にそれほどの動きは無かったのだが、登りに入ると昨日まではさしたる抵抗も出来ずにずるずると下がるばかりであった、ランディスのライバル達が次々にアタックし、最初のメンショフのアタックに対してはランディスも余裕の対応を見せて、これは最後までこんな感じで推移するかなと思われたのだが、サストレがアタックするとランディスはついて行けず、おそらくハンガーノックになったのだろうがいきなり激しいペースダウンを起こし、最終的には10分という大差の遅れで完全に優勝争いから脱落してしまった。
ランディスの遅れを見て当然ながらライバル達はヒートアップし、快調に逃げるサストレに対してこの日はアシストがしっかり残ったTモバイル勢が激しく追い、結果的にサストレとは15秒の差でクレーデンとエヴァンス、ペレイロがゴールし、勝負付けはまだまだ明日以降のステージまで続く事となった。
それにしてもいい意味で驚きなのはペレイロで、レース前はケースデパーニャのエース・バルベルデの1アシストとして優勝候補にすら挙げられる事の無かった選手だったのに、このステージでも最後まで集団に残り、第13ステージで30分差を付けた逃げの貯金を活かして1分50秒差のマイヨジョーヌという形で実らせたのだから、素晴らしい頑張りと結果と言うしかない。
逆に、クレーデンやサストレといった戦前は優勝候補だった選手たちは、今更にして第13ステージでの手抜きを心底後悔している事だろう。第7ステージの個人TTでペレイロはクレーデンと1分差、サストレとは30秒差という結果だったのだから、次の最後の山岳でペレイロに差を付けることが出来なければ、第19ステージのTTを迎える前に、彼らの頭上に赤信号が点滅する事態となってしまう。
第17ステージは山岳とは言え頂上ゴールで無いだけに、空気抵抗を減らしてくれるアシスト達の働きが重要になって来るはずだ。そして鍵を握るのはランディス。彼の体調が回復し、捨て身の逃げに出て集団を混乱させれば、まだまだ一波乱も二波乱も起こるのは間違い無いところだろう。