フランス・リーグアン第22節 ルマン-アジャクシオ(1-0)

良くも悪くもフランスリーグの特徴として、下位チームであっても戦術的なプレスディフェンスが整備されており、それをかいくぐる個の強さもパス回しの精度も足りていないチームが多いゆえに、中盤で攻撃が止まってなかなか決定的なチャンスが生まれない傾向があるのだが、残留争いをするチーム同士の試合とあって、まさにその典型例というべき試合になってしまった。
ルマンはデメロの1トップに松井、キウミエント、ファンショーヌが2列目に入る4-2-3-1で試合に臨んだのだが、デメロにきちんとボールが入らないために攻撃の形というものがなかなか作れず、それ以上にアジャクシオの攻撃がさっぱりだった事もあってルマンがボールを支配はするのだが、やはりポストプレイから1タッチで中盤がサイドに展開するような形がなかなか作れないこともあってなかなか決定機は作れず、前半途中でのセットプレイからのチャンスを生かせなかった後は、まるで互いに得点の匂いという物が感じられなかった。
それが覆されたのは後半のロスタイムが切れるぎりぎりになってからで、しかも相手のセットプレイからのカウンターからドゥイヤールが放ったシュートをアントニオ・カルロスがカバーしようとしてゴールに蹴りこんでしまったもので、ルマンはチームとして勝利のための形をほとんど作れないままに、勝ち点3を得るという幸運をゲットしてしまったと言える。
この試合での松井は珍しく前半からボールに触れてチャンスメイクをしたものの、そこからのクロスなどがFWにはぴたりと合わず、後半途中の選手交代からはトップ下に入ってヒールなどのアイデアで相手を崩す意図は見られたのだが、それがきちんとした形でつながる事は無く、おそらく本人にとっても消化不良と思えるであろう試合になってしまった。とは言え、とりあえずは相手ボールになれば走って戻り、攻撃時にはいち早く良いポジションに走るという労働者を演じるしか、今のルマンの状況で松井が生きるためにはそれしか方法があるまい。それを徹底して残留をという結果を出せば、次の道はきっと開けてくるはずだ。