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W杯欧州予選グループ4 スイス-フランス(1-1)

2枚看板のアンリとトレゼゲが怪我のフランスは、ドラソーの1トップにマルーガ、ジダン、ヴィルトールが並ぶ布陣を選択する。しかしフランスのこの形は全く機能せず、ドラソーはほとんど1トップらしい起点の仕事が出来ずにたまにジダンが良い形でボールを持ったり個人技で1対1を突破したり、またサイドにボールが出たときにはチャンスらしい様子にはなったのだが、ボールを持った選手が味方を探しながらのパス回しに終始し、それでも個人能力が高いのでそれほど簡単にボールを奪われる事は無いのだが、全盛期の「一気にプレスで詰められて最後はジダンの起点から何人もゴール前に襲い掛かる」怖さと言うものがほとんど感じられない。
逆にスイスの攻撃は、まるでアメフトのようにオートマティズムが浸透しており、いったん中盤にボールが入るとそこからはほとんどワンタッチ&ノールックパスでダイアゴナルにどんどんボールが回り、フランスの守備が完全に後手に回って何度も惜しい場面を作っていた。残念ながらスイスの前線に決定力が無かったのと、フランスが恥も外聞も捨てて守備エリアを下げたために前半途中から膠着状態になってしまったが、内容では完全にフランスを圧倒するサッカーを見せていた。
後半になってフランスがドラソーに代えてシセを入れ、それまでほとんどフランスを封じ込めていたスイスの守備陣が、一本のパスで裏を取ったシセに対してGKとDFが交錯するというミスを犯して失点してしまい、スイスも慎重に守るフランスの壁をなかなか破れずに、これは格下チームの健闘試合の典型的な結果になってしまうのかなと思ったのだが、スイスが79分にFKをマニンが頭で逸らせて同点に追いつき、後はフランスも気落ちしてさほどの反発も見せる事が出来ず、フランスにとっては痛いが、しかし内容からすると僥倖とも言えるドローで試合は終わった。
スイスが順位にたがわぬ素晴らしいサッカーを見せたとは言え、フランスの不振は重症である。もっとも、フランスは3位に落ちたとは言え、次はホームでキプロスが相手であり、スイスがまだ可能性を残すアイルランドとの対戦を残しているためにやや有利な状況は変わらないが、結果より何より自国の一丸となったサポートを得られるかどうかが本大会に向けての最重要課題だと言えそうだ。

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