今日のツールドフランス

第20ステージは総合争いの最後の戦いである個人タイムトライアル。テレビは4位ウルリッヒと3位ラスムッセンの表彰台争いのタイム差をリアルタイムで追っているが、ここでいきなりラスムッセンが落車、そのダメージもあるのがみるみるうちに差は縮まっていき、20km地点で早くも逆転してしまう。その後にラスムッセンはホイールを変えたりさあに落車などのトラブルもあって泣きっ面に蜂。
と表彰台争いに目を奪われていたら、17km地点のチェックポイントでなんとバッソがランスに7秒、ウルリッヒに17秒の差をつけてトップと言う驚くべき報告が入る。これはバッソの急成長なのか飛ばしすぎなのか・・・そして40kmのポイントではウルリッヒがバッソを46秒差で逆転、そしてラスムッセンを抜き去ったランスがウルリッヒを32秒上回る。
そしてゴールではウルリッヒが53秒差でトップタイムでゴール、バッソは失速して1分31秒差で4位、ランスは結局ウルリッヒに23秒差をつけて王者としての意地を見せつける勝利を手にした。ウルリッヒとランスの争いは予想通りだったが、失速したとは言え山岳に続くバッソのチャレンジは、来年の総合争いをする上での糧になった事だろう。そしてヴィノクロフは1分16秒差での3位と、こちらも来年への期待を抱かせる結果を出したと言える。
最後の第21ステージは恒例のパレードスタートでランスもリラックスしてどこから持ってきたのかゼッケン7番を掲げて7連覇を誇示。しかしマキュワンやオグレディとのポイント賞争いを控えたハスホフトはさすがに硬い表情。そしてヴィノクロフがライフェマーのわずか2秒差で6位に迫られているゲロルシュタイナーは先頭に出て警戒している展開。
最初のスプリントポイントはマキュワンやオグレディは動かず、ヴィノクロフがトップで取ってなんとライフェマーに並んでしまう。ここでゲロルシュタイナーのショルツが逃げて次のスプリントポイントのボーナスタイムを潰すべく動く。が、ここはシャンゼリゼ前のアタックはルール違反だとばかりにディスカバリーが動いて逃げを押さえ込む。そして舞台は雨に煙るパリのシャンゼリゼへ。
例年序盤から激しいアタックが繰り広げられるシャンゼリゼだが、今年は雨が降ってパンクの選手が多いこともあってゆっくりと入る展開に。が、2週目にダクルーズが動いてレースが活性化し、第2スプリントポイントは逃げの集団の中で上位が決まってタイム争いもポイント争いも動かず、4周目では逃げの集団が2つ形成される。
5周目ではホーナーとタンキンクが2人で逃げ、集団との差は20秒に。しかし集団はロットやコフィディスが引っ張って逃げをきっちりと捕まえる。しかしゴール前2km地点でマクギーとヴィノクロフと言う独走力のある選手が逃げを決め、スプリンターのチームがバラバラになってしまった事もあってゴールまで逃げ切り、最後はヴィノクロフがスプリント争いに勝って見事なシャンゼリゼゴールを獲得した。後続ではマキュワンが先頭でゴールしたものの、ハスホフトも7位で入ってマイヨヴェールを確定。そしてランスは、穏やかな表情でツール7連覇と同時に引退を決めるゴールを無事完了という結末。
王者が去った来年からのツールは、間違い無く今年の上位であるバッソとウルリッヒ、そしてヴィノクロフやバルベルデ、クネゴといったところがからむ戦国ツールになる事は確かで、これまでの7年間とは全く違ったツールの楽しみ方になるのは確かだろう。一時代を築いたランスが去る寂しさを噛み締めると共に、新たな時代が始まる期待を感じながら、また来年の開幕を楽しみに待ちたいところである。