今日のツールドフランス

登りゴールでこそ無いものの、途中で1級と超級があって気が抜けない第16ステージ。まずはいつも通りに序盤でのアタック合戦からフレチャやホーナーなどの11人の逃げが形成され、集団との差を開いていく。が、総合で13分の差と健闘しているエヴァンスがこの逃げに含まれているために、集団はディスカバリーがあまり大きな差を付けられないように引っ張っている。
そして1級のマリー・ブラン峠にかかるとメイン集団から早速ヴィノクロフがアタック、これにペレイロが反応して逃げようとするが集団もスピードアップ、しかしそこでさらにバッソがアタックし、ディスカバリーチームはヒンカピー以外はランスから引き離されてしまう。モローやクレーデンも脱落する中、ペレイロは単独で快調な逃げで先頭集団を追っていく。先頭とメイン集団はマリー・ブランの頂上では3分半の差。
下りになると再びメイン集団は一つに固まり、ディスカバリーもアシスト体勢を整える。そして超級オービスクのふもとのラランの町では11人の逃げの後に2分ほどでセラーノ、マッツォレーニ、ペレイロと来て、メイン集団は体勢を整えている間に一気に7分の差に。
メイン集団がオービスクの登りにかかると早速おなじみヴィノクロフがアタック、ディスカバリーは無理に追わずに逃げを泳がし、狙いはステージを取る事よりも総合争いをしている選手のアタックのみに照準を合わせている。それを見越してか、メイン集団からはカシェキンやエラスなどの選手が飛び出して行く。そして先頭ではエヴァンスが一気にスパートして勝負に出る。
さらにメイン集団ではT-モバイルが引き始め、ランスの元には再びヒンカピーのみが残る状態になってしまう。さらにウルリッヒがアタックし、メイン集団は総合上位の選手で占められてしまう。が、T-モバイルはヴィノクロフが逃げており、CSCもサストレが残っているのでランスはここでも丸裸の状態になってしまう。が、ここは何とかヒンカピーが踏ん張って集団に戻ってくる。
しかしここでウルリッヒがアタックし、ヴィノクロフとエラスの逃げに追いついてしまう。そしてオービスクの頂上ではエヴァンスが先頭で通過、その次は50秒差で何とペレイロが2位で通過する。そしてメイン集団は4分強の差でオービスク峠を通過。あとは長い下りと平坦が70km続くだけに、ランスもアシスト陣を待ちながら下る。
オービスクの下りではエヴァンスにペレイロとマッツォレーニが追いつき、メイン集団も再びモローやガルゼッリ、アシスト陣が追いついて再び大きな集団を構成する。先頭ではペレイロがパンクをしながらも追いつき、エヴァンス、ペレイロ、ザンディオ、マッツォレーニという4人の逃げとなり、エヴァンスとの差が開いたために総合での差を気にしたT-モバイルやラボバンク、ゲロルシュタイナーが引き始める。その間には追走集団が8人で追う展開。
最後の山岳である4級の登りではメイン集団は4分半の差に留まり、これでステージ争いは完全に逃げの4人と追走の8人に絞られる。そしてゴールまで10km地点では追走集団も2分差にまで離され、さらに優勝争いは先頭の4人で確定した状態。先頭では総合順位を上げるべく最後までエヴァンスが引く形が続き、最後はペレイロが4人によるスプリントを制し、ヒンカピーに勝利を奪われた雪辱を見事に期した。
エヴァンスの総合順位アップへの執念や、ペレイロのリベンジといった見所はあったものの、総合争いと言う点では、最近のツールに見られるような、総合での目下のライバルとのタイム差を意識したチームの動きがランスに対する攻撃を鈍らせたと言う点で、ドラマ性に欠けたステージになってしまった事は否めない。これから3日間は平坦ステージが続くが、ディスカバリーが平坦でのアシストに弱みを抱えているだけに、思い切った戦略を他のチームに期待したいものである。