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昨日までのツールドフランス

最後に1級山岳の頂上ゴールを控える文字通り山場のステージ第1弾の第14ステージ、早めにスペインチャンピオンのガラーテ、ジロ優勝経験のあるガルゼッリ、今年は調子が出ないものの毎年上位常連のトーチニヒなど足自慢の10人が集団から9分以上の差をつけて1つ前の超級山岳に差し掛かる展開。集団はピレネーともあってバスクのチーム、エウスカルテルが引いている。
その登りにかかると、エースウルリッヒがランスから差を付けられているだけに、暑さに弱いとされるランスに対してダメージを与えるべく早めのアタックを意識する狙いがあるのか集団を引き始める。と思ったらいきなりヴィノクロフとウルリッヒがアタック、ランスもこれに付いていくがディスカバリーのアシスト陣が置いていかれてしまう。さらにヴィノクロフ、バッソが次々にアタックすると、今度はとうとうランスが遅れてしまう。
すわランスは不調なのかと思われたのだが、アシストを待っていたのかしばらくするといきなりペースを上げてあっという間に先頭に追いついてしまう。この時点で集団はバッソ、ウルリッヒ、ランディス、ラスムッセン、ヴィノクロフ、マンセボーなど早くもエースのみの白兵戦に。しかしすぐにヴィノクロフとラスムッセン、クレーデン、マンセボーが厳しくなる。そして先頭のほうはいつの間にか選手がバラバラになって、トーチニヒが一人逃げの状態になっている。山頂ではトーチニヒの後にランスのグループが4分差で通過、さらに40秒差でラスムッセンやクレーデンが通過する。
下りではクレーデンやヴィノクロフが追いつき、ランスが1人なのに対してウルリッヒのT-モバイルは3人という有利な状況でいよいよ最後のエックス・トロワ・ドメーヌへの登りへと突入する。先頭のトーチニヒとの差はここで4分40秒。ここでまず駆けたのが何と後から追いついたヴィノクロフ。しかしその動きはすぐに吸収されてクレーデンが集団を引っ張って行く。
ゴール前6kmでバッソがアタック、付いていけたのはウルリッヒ、そしてランスのみ。4km地点では先頭とは2分強まで詰める。が、3人もそれほど余裕がある表情ではなく、トーチニヒはほぼ勝利を確実に。3人の中ではランスの最後のアタックにウルリッヒが遅れ、ランスとバッソが55秒差で入り、ウルリッヒは20秒をさらに失ってゴール。
ランスはさすがに前年までの超人的なアタックは見せられはしなかったものの、2位のラスムッセンに対してはこの日で1分41秒の差となって、ますます7連覇に向けて着実に歩みを進めたというところ。ただ、この日はアシストが早くで総崩れとなってしまっただけに、明日の勝負に向けて不安点を抱えて臨む事になった。
そして第16ステージは2級が1つ、1級が4つ、そして最後は超級サン・ラリ・スーランの頂上ゴールと言うこのツールで一番過酷なステージ。先頭はボーヘルト、クローン、デッケルのラボバンク3人衆を含む14人が逃げ、2番目の峠では17分の差をつける。メイン集団はディスカバリーが引いている状態ではあるが、ディスカバリーは逃げにヒンカピーを送り込ませていて保険をかけている。
そして峠をいくつかこなした後のペイルスルードの登りでは、先頭からポロポロと選手が落ち始めて残り50km地点では6人にまで減り、集団は今度は何故かCSCが引っ張る形になって15分差。これはディスカバリーのアシストを疲弊させてもランスは打ち破れないので、それなら今日のステージを取りたいと言う気があるのかもしれない。そして今日もエウスカルテル勢はぱっとせず、地元の期待を完全に裏切っている。そして集団は12分差で峠を通過、ゴールまで残る峠は2つに。
次のルロナーゼ峠ではなんと集団からT-モバイルのクレーデンが遅れたためにヴィノクロフがペースアップ、そこからさらにバッソがアタックし、これにはランスとウルリッヒが付いて行くのみで早くもビッグ3の戦いに絞られる。バッソはラスムッセンやライフェマーを突き放して2位の座を確保すべくペースを引っ張る。ルロナーゼの峠では集団は先頭に対して7分40秒の差。
そして最後の10kmの登り、先頭では激しいアタック合戦が始まり、残ったのはペレイロ、ボーヘルト、ヒンカピーとワンデイレースが得意なメンバーが2人と言う意外な展開。後ろでは登りにかかってまずバッソがアタック、これにウルリッヒがやっぱり遅れてしまう。しかしランスはタイム的に勝つのは厳しいので無理にアタックする必要が無く、先に行っているヒンカピーを勝たせたいと言うところもあるのかバッソの前に出ることが無く、ウルリッヒもそれほど大きく遅れることも無くついて行っている。
5km地点で先頭ではカウッキオーリがアタック、カウンターで出たペレイロに付いていったのはヒンカピーのみ、これでとうとう1対1の戦いに。後ろではヒンカピーが有利な立場になった事を確認したのかランスがバッソと先頭交代をし始める。先頭は人の波をかきわけながら進み、残り距離はとうとう1kmに。最後はヒンカピーがスプリント力の違いを見せ付けて、まさに信じられないといったポーズでまさかの勝利。ランスはバッソと共に5分差で余裕のゴール、セビーヤに率いられたウルリッヒは苦しい6分30秒差のゴールとなった。
まあランスはバッソに差は付けられなかったとは言えTTで強いウルリッヒに対しては差をつけて、これでほぼツール7連覇を確実にしたと言ってもいいだろう。ただ、今年はポポビッチやサボルデッリといったセカンドエース陣がジロの影響で働けずに先行集団を捕まえられずにステージでの勝利を手に出来ていないだけに、TTでは勝利を是が非でも挙げておきたいところで、あとの興味はウルリッヒとの意地の争いに注目が移ったと言えよう。

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