今日のツールドフランス

今年のツールで本格的な山岳ステージの第2弾となる第11ステージ。まずはスタート直後の下りでハスホフトとドゥムランの2人が逃げの体勢に。そして集団はディスカバリーがゆっくり引いて上りに備える体勢を作るが、最初のマドレーヌ峠への登りでマンセボー、ヴィノクロフ、ボテーロという総合でも上位にいる強力なメンバーを逃がしてしまう。しかしディスカバリーも1分以上の差は付けられないように注意深く追走する。
逃げ集団は途中でハスホフトを吸収してこの時点で先頭集団へと変わるものの、エラスやマンセボーが脱落して人数を減らしていく。そして頂上ではペレイロ、ヴィノクロフ、ボテーロの3人になってしまう。そしてメイン集団は50秒差でマドレーヌを通過。そこからの下りと平地では集団はリスクを犯さずに安全に追い、1級山岳のテレグラフ、超級のガリビエと連続して続く30kmの登りの入り口で2分差がついた状態。
テレグラフでは完全に3人の逃げと集団と言う形になり、集団ではディスカバリーが6人のアシストで武装して淡々とレースは進んでいく。しかし3人の逃げはなかなか快調で、テレグラフの頂上では3分以上の差がついてしまう。ボテーロとの差は5分、ヴィノクロフとは6分以上あるとは言え、ディスカバリーのアシストに余力はあるのかどうかちょっと危険な空気が漂い始める。
ガリビエでは先頭からペレイロが遅れ始め、逃げはヴィノクロフとボテーロのみに。そして集団からはまたもマヨが遅れていく。さらに山頂まで10km前地点でボテーロが送れてヴィノクロフの単独逃げとなる。集団では大きな動きが無いままに6km地点でクレーデンが脱落してしまう。それでもディスカバリーにはまだ4人のアシストがいるために他のチームも動けず、頂上付近で山岳ポイントを取るためにラスムッセンが飛び出したぐらいで、ガリビエ峠を集団は2分40秒差で通過。
ゴールまで40kmもある下りでは、先行するヴィノクロフにボテーロが追いついて先頭はまた2名に。ゴール前20km地点では差は2分23秒、10kmで2分と逃げ切れそうな雰囲気。そして最後はヴィノクロフが残り400mでスパート、ボテーロを振り切って名誉挽回の勝利。ランスは最後までアシストに守られながら、1分14秒差でゴール。これで総合順位はボテーロが3分48秒差で6位、ヴィノクロフが4分47秒で12位にアップするものの大勢は変わらず。
期待された他チームの反撃はディスカバリーの完璧な守備に押さえ込まれ、ヴィノクロフやボテーロには逃げられても危機になるまでは離さずと、ディスカバリーはランスの力を温存したまま最小限のマイナスに抑えられたと言う意味で、ランスの力に加えてチーム力でも他のチームを圧倒したステージだったと言える。あとはランスのアクシデントに他のチームは期待するしか無いのか・・・
そしてフランスの革命記念日となる第12ステージは途中に2級の山岳が2つあるものの、少し山岳の中休み的なステージという感じ。ここで何とボーネンが前日のステージでの落車によってリタイアという報が。しかも序盤でディスカバリーのベルトランもリタイアと言う波乱。
レースのほうは前日とうって変わって次々に活発なアタックが繰り返される展開で推移。そして最終的には13人による逃げが決まって集団との差を開き始めるが、あまり逃げ集団に有力選手がいないのでディスカバリーも落ち着いたもの。しかし逃げ集団にはポイント賞を争うハスホフトとオグレディが入っていてその意味ではなかなか興味深いところ。
そうなると、マキュワン率いるロットが当然追いかけざるを得ないわけで、ディスカバリーにとってはおいしい展開。しかしロットの追撃は貧弱で、集団とは4分以上の差に広がってしまう。そしてゴール前40kmでロットは引くのをあきらめ、レースの注目は先頭集団に集まる。
2つ目の2級山岳の途中でここからモンクティエがアタックし、単独での逃げの形が決まってしまう。登りではハスホフトとオグレディがやっぱり厳しい。山頂ではモンクティエが後続に35秒、オグレディに2分、メイン集団に7分40秒の差をつけて、逃げの集団で今日のレースはほぼ決まりという状況に。
しかし依然としてモンクティエの逃げに対して後続の足並みが揃わず、残り10kmになってもモンクティエが30秒の差をつけたまま。そして最後までモンクティエが逃げ切り、フランス人として嬉しい嬉しい革命記念日での勝利を手にした。後続のスプリンター同士の争いはハスホフトがオグレディを交わして少しポイントを稼ぎ、メイン集団は10分後にマキュワンが先頭を切ってゴールと、総合争いよりもフランス人の勝利とポイント争いに見所があったステージだった。
明日の平坦をこなせば頂上ゴールのステージが2つ続く今年のツール最大の山場が待っている。果たしてここで何かが生まれるのかどうか。