J2第9節 福岡-京都(0-0)

未だ無敗同士の2チームによる序盤の大一番。博多球技場は首位対決ともあってなかなかの入り。福岡は有光とクラウシオの2トップによる4-4-2、京都もアレモンとパウリーニョの2トップの4-4-2同士のガチンコ対決。
試合はさすがにJ2の無敗同士とあって、非常にソリッドな守備組織によってほとんど攻撃に費やせるスペースと時間が無く、シュートの一歩手前までには持って行けてもその後がほとんど期待できない展開が続く。それでも、センターラインまでボールを運べばあとはアレモンとパウリーニョにボールを当てるという狙いがはっきりしている京都に比べ、福岡はセカンドボールを狙うしか攻めの糸口が無く、たまに中村やアレックスによる個人技で見せる場面はあってもチームとしての点の匂いを感じさせない。
京都は試合のペースを握りながらも美尾のオフサイド崩れからのシュートがバーに当たったり、鷲田のフリーのヘッドも外れるなど運の無い場面が続いていたのだが、福岡DFの厳しいマークや試合展開のイライラもあってか41分にアレモンがボールとは関係の無いところでラフプレイを犯して一発退場を喫してしまう。当然その後は福岡が攻めるのだが、京都も何とか守りきって前半を終了する。
福岡は後半開始から山形に代えて太田を投入し、高さで何とか京都DFを崩そうと言う狙いを見せる。福岡はほとんど京都陣内で試合を進めながら、ゴール前でフリーになった太田が絶好のチャンスにシュートを外してしまって嫌なムード。案の定、13分にクロスからパウリーニョが完全に抜け出してヘッドを放つもののこれがポストに当たって福岡は命拾い。
それでも福岡は徹底したクロスからの攻撃で攻めるのだが、京都のDFラインを高めに保った守備の前に裏を破る事が出来ず、太田のヘッドや古賀のシュートもGK正面と運もなかなか味方してくれない。福岡はその後も攻め続けるのだが、ボールを奪ってから攻め切るまでの流れがスムーズでなく、どこかでドリブルなどのワンクッションが入ってしまうためにシュートを狙う場面では京都の4バックが揃ってしまっている時がほとんどで、クロスを上げている割には惜しいシュートという場面を作る事が出来ない。
後半のロスタイムは5分と言う長い時間になったが、長いサイドからのクロスに太田が頭であわせるシーンがあったもののボールは枠を外れてものに出来ず、試合は無得点のドローに終わった。
京都はアウェイに加えて退場者を出したという事を考えれば、勝ちに等しい勝ち点1を手にしたと言える。退場者がFWであった事も、組織の面で変更を必要としなかったプラス面があったように思う。福岡は守備的な相手を崩す上で絶対的に必要な要素である「個の強さ」という面で、京都を上回る選手がいなかったのが勝ちを決める上でのネックになってしまったと言える。ともかく、組織的なサッカーがうまく行っているチームは個人が目立つ場面が少なくて戦評の書きどころに困ってしまうのだが、京都も福岡もその意味ではぴったり当てはまっているチームであり、勝ち抜くよりも負けないことのほうが重要なJ2という舞台を考えれば、今後も間違い無く首位争いをしていくだけのポテンシャルがあるのは確かなように思う。