J1第5節 名古屋-FC東京(1-0)

現在首位のFC東京をホームに迎え、名古屋は取りこぼしが響いて現在7位と負けられない試合。FC東京はルーカスの1トップの下に戸田、宮沢、石川と並べたおなじみ4-2-3-1、名古屋はFC東京とマッチアップさせる形で、マルケスの下に本田、山口、中村を並べた4-2-3-1で挑む。
試合は序盤から東京ペース。Jで結果を出している高い位置からのプレスで、布陣が変わったせいか中盤のつなぎでミスを連発する名古屋のボールを奪い、PA前で選手がフリーになる場面を作る。東京はルーカスがポストプレイやサイドで起点を作って確実に攻撃につなげる役割を果たしているのに対し、名古屋はマルケスがほとんどボールにからめずシュートシーンまで持ち込めない。そして早速11分に、左からのFKを増川がかぶってしまい、ボールを拾った今野を手で倒してしまってPK、しかしルーカスの蹴ったシュートは楢崎が見事に弾き出す。
その後は連戦の疲れもあってか少し東京のペースが落ちはじめ、名古屋はサイドへの大きな展開で一気に流れを引き寄せ始める。これで石川や戸田といったウイングが守備に引っ張られ、ルーカスが孤立して得意のサイド攻撃が沈黙してしまう。しかし名古屋もサイドまでボールは持って行けてもそこからのコンビネーションが無く、クロスの精度も甘くて得点には至らない。
そんな中で、22分に名古屋右サイドでのキープから中へ飛び出して来た本田につながって決定的なチャンスを作るが間一髪で防がれ、そのCKからのマルケスのヘッドも土肥がスーパーセーブで守りきり、クロスをルーカスが流したボールに飛び込んだ金澤のシュートも楢崎が体で止めてGKが見せ場を作る飽きさせない展開を見せ、その後も緊迫した状態のままで前半を終了する。
後半になっても両チームの縦に早い展開は変わらず、ちょっとしたゴール前でのミスや1対1での勝負で得点が入りそうな気配が漂い始める。しかし、そこでも両チームのGKがナイスセーブを連発して試合の流れを押し返す。ここで東京は8分に宮沢に代えて梶山を入れ、前線でのキープ力を増して再び高い位置をキープし始める。
だが16分に、名古屋はカウンターの場面から中村がドリブルで攻めあがり、DFを引き付けてサイドに開いたマルケスにスルーパス、これをマルケスがダイレクトでカーブをかけた見事なシュートを決めて、とうとう名古屋が均衡を破る。東京は失点後からさらに早くボールを運んでセカンドボールを拾う狙いを徹底して反撃する。しかし名古屋もその分カウンターにつながるチャンスが増え、決定機では名古屋のほうが上回るのだがやはりこちらも決まらない。
そして名古屋は攻撃の起点になってはいたがミスも多かった増川を秋田に代えて守りきりを図り、DFも最後まで集中力を切らさず、あとは時間稼ぎもうまく使ってホームでの勝ち点3を手にした。
名古屋は5枚と言うイエローの数が表すように勝ちたいという闘志でFC東京を上回り、サイドチェンジを多用した攻めでプレスを回避するゲームプランが当たり、アンヨンハとクライトンの粘り強い守備で中盤の支配力を最後まで明渡さなかった。逆にFC東京は、プレスのかけどころが定まらずにラインだけが下がってしまい、それにつれて両ウイングがどんどん存在感を無くしていった事が致命傷となってしまった。PKが決まっていれば全く違う試合になったのだろうが、それもまたサッカーである。