オランダ エールディビジ第27節 フェイエノールト-AZ(4-2)

エールディビジの2位と3位の対決、しかも両チーム共に連勝同士と言う注目の対決。フェイエはガリを中盤の底に、その前にホールと小野が並んでカイト、カルー、カステレンが3トップを組む4-3-3、そして今や代表選手をも抱えるAZも、同じ形のフォーメーションで対峙する。
試合は予想通り、組織で戦うAZと個人で勝負するフェイエという形で推移する。AZは、攻撃では高くラインを上げてポストプレイから分厚いフォローでサイドに展開する形を見せ、守備ではフェイエがボールを持つとすぐさま自陣に帰って激しいチェイスを仕掛けてくる。フェイエも今日はガリがスタメンのおかげで、最終ラインの4人とその前で掃除をするガリの5人の形が崩れず、マークをあまり受けていない小野が効果的なパスを散らしてうまくAZのプレッシャーをかいくぐる。
それでも15分ごろからは、AZのチェイシングがますます激しくなってフェイエはパスを前に送れなくなり、バックパスに対する圧力におたおたし始めてチームに危ない雰囲気が漂ってくる。しかし18分に、最終ラインからの縦パスをホールがワンタッチで後ろに流し、これを左サイドで受けたカルーがコントロールされたシュートをファーサイドに決めてフェイエは効率的な得点を決めてしまう。
その後も試合のペースは変わらず、AZの人数をかけた攻撃を何とかGKバボーシュのナイスセーブを始めとした守りで弾き、早く縦パスをFWに当ててカイトやカルーの個人技で打開するフェイエという形が続いていく。そして43分に、右サイドでボールを受けたカステレンがカイトとのワンツーで裏に抜け出し、ファーサイドにシュートを決めてフェイエが大きな2点目を獲得する。
さらに後半の開始早々に、FKからカイトが競ってこぼれたボールをカルーがワントラップでDFをかわして3点目をゲットし、これで勝負は早くも決まったかと思われたのだが、すぐ後に小野がサイドに出したボールを奪われて出された縦パスに、フェイエDF陣がオフサイドをかけそこなって裏に抜けたネーリッセに1点を返されてしまう。
いつものフェイエならばここからドタバタし始めるのだが、今日のフェイエは違っていた。点を入れられて気が引き締まったのか、突然ボールへの激しいタックルと選手のスペースへの動きが蘇り、小野も珍しく思い切りの良い飛び出しやスライディングでAZにペースを握らせない試合を見せる。そうなると神様も恵みをくれるもので、19分にカウンターからホールが抜け出し、中にいたカルーが落ち着いたボールコントロールからシュートを決めてハットトリック。あとはAZに1点を返されたものの、フェイエが自分達のペースで試合を進めてAZに勝ち点7に迫る勝利を手にした。
今日の小野はアジア予選での疲れも見せず、オランダのレベルとは言え終始活発な動きで、後ろでフォローをしてくれるガリの助けもあって効果的なパスを配球し続けた。また、ハイボールに対しても的確なポジショニングで落下スペースを確保するなど、試合勘もコンディションもベストに近づきつつあると言え、アヤックスとのクラシケルはもちろん、今後に控える最終予選に向けても明るい見通しを感じさせる内容だったと言えよう。