欧州CLベスト16 ユベントス-レアル・マドリード(延長2-0)

珍しく満員になったデッレ・アルピで行われた、レアルが1-0で終えた試合のセカンドレグ、ユーベはイブラヒモビッチとデルピエロ、サラジェタの3トップに、ブラージが欠けた3ボランチの左にペッソットを入れた4-3-3、レアルはロナウドとラウルの2トップの下に、ジダン、フィーゴ、ベッカムが並ぶ4-1-3-2で、サルガドが欠場した右SBにはラウル。ブラボが入る。
試合は予想を覆して、レアルが守備的に引く戦い方を選択する。レアルは慣れない戦い方のせいか序盤からミスが目立ち、5分までにデルピエロやイブラヒモビッチがフリーでシュートを撃つ場面を作ってしまうのだが、ユーベはどちらもシュートミスで物に出来ず、試合はすぐに膠着する。
レアルはジダンやベッカムがハーフライン付近でしか仕事が出来ず、アウェイゴールを1点でも決められたら危ないユーベも、レアルがボールを持った瞬間に中盤以降が引いてしまうために厚みのある攻撃が仕掛けられず、両チームともに守り合いの展開が続く。レアルのチャンスらしいチャンスは23分にジダンが放ったミドルぐらいなもの。
30分を過ぎると、ロベルトカルロスがほとんど上がらずにスペースを消しているレアルに比べ、ラインが低い割にゼビナが不用意に上がっては裏のスペースを突かれるといった、まるでどこかの代表のようなユーベに対し、レアルが徐々にチャンスを作り始める。しかし、後半5分のカウンターからのロナウドの決定的なシュートもブッフォンがかろうじて弾いてポストに当たり、レアルはユーベの息の根を止めるまでには至らない。
後半9分に、この日全くの役立たずだったデルピエロに代えてトレゼゲを入れてから、ユーベはレアルを運動量で上回り始め、カモラネージを中心とした攻撃でユーベを圧倒し始める。ペッソットに代えてタッキナルディまで投入したユーベに対し、レアルも何とか最後の場面で踏ん張ってはいたのだが、ルシェンブルゴもここで辛抱たまらず、28分にジダンに代えてグティを投入。
しかし29分、右からのカモラネージのアーリークロスをイブラヒモビッチが頭で折り返し、そのボールをこの試合ではこの場面でしか働かなかったトレゼゲがオーバーヘッドでゴール上部に蹴り込んで、ユーベがとうとう2試合での同点に追いついてしまう。後は、両チームともにチャンスをいくつか作るものの、互いに物に出来ずに試合は延長戦に突入する。
延長に入るとレアルはラウルに代えてオーウェンを投入する。ここまで来ると両チームともにさすがに疲れが出るのか、互いにゴール前でのファールが増えてセットプレイが多くなるのだが、これもことごとく押さえが利かずに上に外す場面ばかりで、試合はPK戦までもつれこむ様相を深めてくる。
ところが延長後半9分、ユーベの何でもないアーリークロスをラウル・ブラボが痛恨のクリアミス、これをサラジェタがダイレクトでレアルゴールに叩き込んでユーベがリード、あとはユーベが余裕でレアルの攻撃を凌いでCLのベスト8に駒を進めた。
レアルはアウェイゴールを先に取れば後は安泰の試合だったのだが、攻撃的に行かずに守備的に戦ってしまい、結果的にジダンやラウルといった試合を決める力を持った選手をむげに消耗させてしまった。確かに、その戦い方は普通のチームであれば理にかなったものだったかもしれないが、自分達の良さを出さずに相手の良さを消す戦い方をしてユーベに勝てるなら、今まで対戦した監督は誰も苦労はしかなかっただろう。
とは言えユーベも、デルピエロやゼビナが明らかに不調でミスばかり目立ち、イブラヒモビッチの天才やカモラネージの運動量で何とかチームがもっている状態は、今後のスクデット争いやCLでの戦いを考えると喜んでばかりもいられない。今後コンディションを整えていかないと、豊富な駒を持つミランやチェルシー、バイエルン相手では苦戦をするのは必至である。とにかくネドベドの復帰が待たれるところだ。