イタリア セリエA第21節 レッジーナ-ラツィオ(2-1)

レッジーナが8位、ラツィオが14位という近年のイタリアでは到底考えられない順位になった対戦。中村が復帰したレッジーナはボナッツォーリの1トップに左にテデスコ、右に中村がウイングに入った3-4-3という布陣。ラツィオはロッキとバッツァーニがFWとなった4-4-2。
試合はホームのレッジーナが開始から積極的に攻める。しかし、レッジーナは押し込みながらも選手同士のポジショニングが曖昧で選手同士が重なる場面が多く、中村も右サイドに張ったり中央に寄ったりと役割がいまいちはっきりせず、レッジーナはボールを保持するものの攻撃の形がうまく行かない。逆に、守備面でラツィオの左サイド中心の攻撃に右のメストが1枚で守る形が多く、そのメストがどうにも不安定な守備を見せてしまう。
それが端的に表れたのが10分で、右からテデスコがドリブルで持ち込むものの周りにレッジーナの選手は一人もいなくてボールを取られ、逆にカウンターから右のセーザルに展開され、メストのバクチ的なスライディングを交わして角度の無いところから決められてしまう。その後はレッジーナがややペースを握りながらの試合になるのだが、セットプレイからのドンピシャヘッドもこの日当たっているラツィオGKペルッツイに弾かれ、チャンスは作りながらもなかなか得点が出来ない。
しかし36分に、スライディングでからみあったセーザルが報復行為でイエローをもらい、そこで一発レッドでもおかしくなかったのだが、その直後に右サイドから中村に抜かれたところを止めてしまって今度は文句無しの退場になる。その後は中村も中でボールを受ける形が増え、惜しいチャンスを量産するも今度はシュートの精度を欠いてしまって前半はラツィオがリードしたままで折り返す。
後半になるとラツィオは完全に引いてしまい、レッジーナは中村をトップ下にしたにもかからわず攻めあぐむ展開が続く。たまらず、レッジーナはカンナルサに代えてコルッチを入れて2バックにしてさらに攻撃的にシフト。そして中村はボランチの位置に。しかし攻めまくるレッジーナの前に壁と化したペルッツィが立ちはだかってシュートをことごとく弾き返す。
だがようやく26分に、中村のクサビのパスから左に展開し、クロスをボナッツォーリが難しいヘッドを決めてレッジーナが同点に追いつく。そして追加点と行きたかったところだがコルッチの出来がよろしくなく、もう一つ試合を圧倒できる展開に持ち込めない。逆にDFが薄くなったところをカウンターにやられるシーンを作られるものの、何とかポストも味方に付けて守りきる。
そして引き分け濃厚になったロスタイム、中村のCKが流れてフリーでシュートを撃ったボナッツォーリのボールがデローザの体に当たってラッキーな得点が決まり、レッジーナは土壇場で勝ち点3を手にする事が出来た。
今日の中村は戦術的なものによるのか本人の意識によるものか、もう一つ点に直結できる場所にいない事が多く、キックの精度は必ずしも悪くなかったのだが、悪い癖であるボールホルダーからどんどんサイドに遠ざかったり、相手ゴールとの間に入ってしまう消極的な姿勢が目立ってしまったのは残念なところだった。北朝鮮戦では攻撃の軸として期待されているだけに、もっと厳しい場面で勝負する姿勢を取り戻して欲しいものである。