サントリーCS第1戦 横浜FM-浦和(1-0)

横浜国際競技場に6万5千の観衆を集めたJリーグの頂点を決める試合の第1戦、横浜FMは坂田、清水の2トップに奥のトップ下、ボランチには上野と中西、3バックの右には河合が入った3-5-2の布陣。浦和はおなじみエメルソン、田中、永井の3トップで左DFには内館が入った以外はベストの3-4-3で臨む。
試合はホームの横浜が積極的にラインを上げ、三都主と山田のサイドの裏のスペースにロングボールを出して快速2トップを走らせ、こぼれ球を中盤で拾う狙いでペースをつかむ。浦和は横浜のロングボールのおかげでなかなかラインが上げられず、横浜の鋭い出足の前にエメルソンへのボールがことごとくカットされてしまう。
そしてサイドからのドリブルを闘莉王がクリアミスしたところを坂田が拾ってシュートするが、これがポストに当たって浦和は命拾いをする。しかし、横浜のロングボールと細かいサイドでのパス回しで浦和はサイドの主導権を握られ、三都主や山田が上がれない上に田中や永井まで守備に戻らざるを得なくなって攻撃が組み立てられない。
ようやく30分になってロングスローからのこぼれ球を田中がシュートするが、中澤の鋭い反応にクリアされてしまう。このあたりから、ようやく横浜のプレスのペースが落ち始め、浦和のサイドが活性化して一進一退にまで持ち込む展開に。しかし両チームともに激しい守備は衰えずに、お互いチャンスはファールからのセットプレイがらみのみで、得点の気配を感じさせないままに前半は終了する。
後半は浦和が内館に代えて平川を投入し、横浜のスピードに対して対策を打つ。しかし全く前半と試合の展開は同じで、ラインの押し上げの速さと中盤でのワンタッチのパス回しで横浜が中盤を制圧する。それでも、浦和はDFラインと鈴木を中心とした中盤の戻りが早く、横浜もシュートチャンスまではなかなか持ち込めない。
こうしてひたすらじりじりとした展開が続いた22分、奥のCKからニアでフリーになった河合がヘディングを決めて横浜がとうとう先制点を挙げる。だが浦和もこれで闘争心に火がついたのかCBが積極的に攻撃参加し始めるのだが、それも長く続かず再び横浜が主導権を握る。浦和は30分にたまらず田中に代えて岡野を投入する。
これで三都主、岡野と両サイドにスピードを得た浦和が横浜を押し込む形になり、中のスペースに長谷部が上がってスルーパスを配球する形が出来始めるのだが、最後のクロスに対しての横浜の優勢はいかんともしがたく、中盤が空いて互いに最終ラインで人を固めた攻防が続く。ロスタイムの4分も、互いに土俵際での押し返し合いに終始し、横浜がきっちりとホームでの第1戦をものにした。
個人技に偏った浦和の攻撃を数的優位のマークで封じ、浦和のサイドの裏へと90分間攻め続け、そしてセットプレイから点を取るという横浜のゲームプラン、パターン遂行力はもちろんだけれども、上野や中西、田中隼磨、そして決勝点の河合と、サブの選手がレギュラーに負けない潜在能力をきっちりと出し切る岡田監督の手腕が際立った試合だったと言える。
逆に浦和は田中が期待を裏切る出来の悪さで、永井も今ひとつエメルソンと絡めず、孤立した攻撃に終始してしまったのは残念だった。後半に長谷部が前に出てきて攻撃のリズムが出てきただけに、田中の状態によってはスタメンの変更も必要になってきそうだ。しかしホームの1点差負けは事実上のイーブンである。2戦目では、横浜の組織を上回る迫力で攻める浦和に期待したい。