イタリア セリエA第11節 ユベントス-フィオレンティーナ(1-0)

前節はレッジーナ相手にまさかの敗戦を喫したユーベが、ホームで好調フィオレンティーナを迎えた試合。ヴィオラはミッコリの1トップの下にアリアッティと中田が並ぶ4-3-2-1の形、ユーベは4-3-1-2で前の3枚はイブラヒモビッチ、デルピエロ、ネドベドというほぼベストメンバー。
試合は当然の事ながらユーベが攻めてヴィオラが守る形で推移する。それでも、序盤の頃は今日はサイドに張る形になった中田がフリーになる場面が多く、ヴィオラは数こそ少ないものの、守備から攻撃への転換がうまく行き、10分ごろにはセットプレイがらみでフリーでヘディングシュートがあったりでチャンスをゲットする。
しかし15分ごろからは守備を修正したユーベの前にヴィオラは手も足も出なくなり、カウンターの場面では中田も積極的に飛び出そうとする動きをするものの、そこまでにプレスで潰されてボールが渡らない場面が非常に目立つ。しかもヨルゲンセンの代わりに右に入ったアリアッティが試合からすぐに消えてしまったため、ボールを奪っても前に走るミッコリに可能性の低いフィードを出すだけで中田もフォローのしようが無い。
ただ、ユーベがボールを持ったら素早く引いてゴール前で厚い壁を築くヴィオラの守備を崩す事が出来ず、15分ごろにデルピエロやイブラヒモビッチの惜しいシュートがあった以外は、さほど決定的なチャンスを作る事が出来ないままに前半は終了する。
後半になると、ユーベの中盤のダイナミズムがやや落ちてヴィオラにカウンターの場面を作られ始めるのだが、テュラムを中心としたDF陣の素早いカバーによってヴィオラにシュートの機会を与えない。そして15分には何故かアリアッティを残したままで中田をヨルゲンセンに交代する。
そのまま試合は淡々と進み、そろそろヴィオラに逃げ切りの考えがちらつき始めたであろう27分、CKからカモラネージが頭でそらせたボールを途中出場のオリヴェイラが蹴りこんでユーベがとうとう先制する。ヴィオラはそこから慌ててポルティージョやファンティーニなどFWを投入するものの、ユーベの狡猾な守備の前に押さえられ、ロスタイムのポルティージョのシュートもゴールを惜しくも外れてしまって万事休す。
ミッドウィークでの勝ち目の薄いユーベホームの試合だったとは言え、無得点に押さえていた中で攻守に誰よりも動いていた中田を下げて同じような特性を持つヨルゲンセンの投入と言う、ゲームの流れを変える意思の薄い消極的な選手起用は、結果論とは言えやはり疑問に思わざるを得なかった。その辺は、プーゾ監督の経験値の浅さが出てしまったのかもしれない。
中田自身の出来は、何度も書いたように相変わらずの豊富な運動量で、時には対面のペッソットの上がりをマークしてSBの位置まで下がって守備をし、それでもボールを奪ったら誰よりも早く動き出して前線での起点になろうと走り回ってはいたものの、ほとんどが空振りに終わる徒労に終始してしまった。それでも、今までの真ん中のトップ下という位置よりはサイドに張り出したせいでボールを受ける場面が多かったのはパルマ時代を考えると皮肉であった。ユーベ相手の守備的な試合だったからそうなったのか、今後も同じ役割を果たしていくのか、次の試合での選択に興味が集まるところである。