親善試合 U-23日本-U-23チュニジア(0-1)

日本はGK曽ヶ端、DF茂庭、闘莉王、菊地、MF森崎、鈴木、前田、駒野、トップ下松井、2トップが坂田と高松と言う、GKとDF、両サイド以外は当落線上にある選手をずらりと並べたかなりテスト色の強い布陣。対するはアフリカ予選を組織力でトップ通過したチュニジア、こちらは4-5-1という形で臨む。
試合は序盤こそ互いに攻めあう形になって互いにシュートの場面を作ったものの、20分ごろからはチュニジアが引いて日本が攻める展開になるが、砂が浮いたピッチコンディションもあるのか日本はA代表のようなきっちりとしたボールキープを見せられず、どうにも落ち着かない状態に終始する。
その原因は、チュニジアの守備が日本のボランチを前後から挟み込む狙いが強く、前田と鈴木が判断やコントロールに戸惑っている間にボールを失う場面が続き、チュニジアが両サイドにウイングを張らせているために森崎と駒野が上がれず、長いボールを前線がサイドで受けて起点になろうとするものの、後ろが押し上げてのフォローが無いために外から中への流れが途切れてしまってどうしても単発の攻めで終わってしまうのだ。
40分ごろからは選手全員の足が止まってビルドアップも満足に出来ない状態になり、このまま終わろうかという空気が支配したロスタイム、右からの簡単なクロスを何とOAの曽ヶ端がファンブルしてしまい、こぼれ球をゴールに蹴り込まれてしまう。
後半からは、高松、森崎、闘莉王、曽ヶ端に代えて平山、石川、阿部、川島を入れて4-4-2に変えてくる。これでややサイドの攻防は安定したものの、頼みの平山の動きに切れが無く、守備をきっちりと固めるチュニジアに対してどうにも攻めあぐむ展開は変わらない。そして18分には田中達を入れて今度は4-3-3へと更にシフトチェンジ。
25分を過ぎるとチュニジアの運動量も落ち始め、中盤が空いたところを日本の選手が使えるようになり、中での溜めからようやくSBが攻撃参加する形が功を奏し始め、田中達や山瀬に決定的なチャンスが訪れるが決める事が出来ない。後は日本が攻めて攻めまくるがチュニジアの守りを崩す事が出来ない。ロスタイムの阿部のFKも前に出てきた壁に阻まれてタイムアップ。
まあとにかく最後はいくつかチャンスを作ったとは言え、それまであまりにチャンスの場面が少なすぎた。その原因は、選手に連動した動きと言うものが全く無かったからである。動きながらワンタッチでボールを回すのでは無く、与えられたポジションで足を止めたままで相手の足元へのパスや横パス、それが無理なら前に蹴り出すといった感じで選手に全く自信が感じられず、ただバラバラにプレイをしていたように見えた。
確かに選考テストのための試合だったのかもしれないが、前田をボランチの位置で使って山本監督は何のテストをしようと言うのだろうか。A代表でさえスタメンを固定しながら2年かかってようやく作り出す事が出来た、「ここに自分が走ればボールが出て来るだろう」という信頼関係、コンビネーションがそれで向上するとでも思ったのだろうか。本番まで1ヶ月と言うこの時間で作るものは競争ではなくて信頼のはずである。
準備試合はあと2試合あるが、最後の最後で小野頼みというのだけは勘弁して欲しいものである。