EURO2004 準々決勝 フランス-ギリシャ(0-1)

グループリーグを1位で通過したとは言えまだ調子が出ていないフランスは、GKバルテズ、DFリザラズ、シルヴェストル、テュラム、ギャラス、MFピレス、ダクール、マケレレ、ジダン、FWがトレゼゲとアンリという4-4-2、ギリシャはハリスティアスを1トップにして中盤を厚くした4-5-1で挑む。
試合は当然のごとくフランスがボールを支配し、ギリシャは堅く守ってカウンター狙いと言う展開。しかし、フランスは選手の縦の動きがほとんど無く、2トップをフォローするはずのピレスとジダンはふらふらと存在感が無く、ボールを持っては無駄にキープして横にパスを回すだけ。課題のSBの攻撃参加もわずかで、ギャラスなどはギリシャが1トップであるにもかからわず遊んでいたのかを思うぐらいタイミングが遅い。
かえってギリシャの方が、ハリスティアスのポストプレイをフォローする中盤の動きや上がったサイドへのパス回しが速く、14分にFKからバルテズの手を弾いてあわやゴールという場面を作るなど、フランスよりはるかに可能性のある攻撃を見せている。
30分を過ぎてから、さすがにギリシャもカウンターを仕掛ける余力が無くなって完全にフランスがボールを支配するが、それでもフランスは効果的な攻めを見せられない。結局、前半のフランスのシュートはわずかにアンリの2本のみと全くギリシャのペースのままで終了する。
後半になるとフランスに少しだけエンジンがかかり、パスワークと言うよりは個人技でギリシャの守備を突破してはシュートを打ったりFKを得るなど、得点まであとわずかという印象を持たせる。しかし素早いリスタートに選手が誰も準備していないなど、気持ちのチグハグさが目立って凄みを感じない。
案の定19分に、リザラズが右サイドをザゴラキスに突破され、ハリスティアスのマークに付いていたテュラムがギリシャの2列目の飛び出しに反応してしまい、その上を越したクロスをハリスティアスに決められてしまう。飛び出しへのマークミスと最終ラインの連携のずれが生んだ失点だった。
フランスはサハ、ヴィルトール、そしてロテンを次々に投入して攻勢を仕掛けるが、頼みのジダンは疲れきっていてあり得ないトラップミスを連発、アンリのフリーでのヘディングもゴールをわずかに外れるなど運も無く、前回の覇者はあっけなくベスト8で敗れ去ってしまった。
試合は全く持ってギリシャのゲームプランが完全にはまった形になったと言えるが、それ以上にフランスの出来の悪さ、覇気の無さが目立った試合だったと言える。特に、ジダンとピレスがほとんど動けず、トレゼゲもさほど動き回る方で無いために前の4人がスペースを埋めてしまう形になり、SBも上がれないという悪循環にはまってしまった。サハとロテンがトレゼゲやピレスとは比較にならないほど精力的に動き回っていただけに何故スタメンで使わなかったのかと言う疑問は拭えない。
結局フランスには、この大会のキーポイントである「調子の悪いアンタッチャブル」が3人もいたわけで、これではフランスと言えども勝てるはずは無い。前の試合から中3日で無策の先発起用をしたサンティニの責任は重大ではあるが、ファンや協会が監督をスケープゴートにして終わってしまったのでは同じ轍を踏んでしまう事になるだろう。