ツーロン国際ユーストーナメント 日本-ブラジル(1-3)

日本はスウェーデンに1-1の引き分け、ブラジルはポルトガルに0-1の敗退と、ここで負けてしまうとどちらも後は無い一戦。日本はGK西川、DF吉弘、増嶋、水本、MF苔口、梶山、小林、中村、トップ下が兵藤、2トップが平山とカレンという大熊監督おなじみの3-5-2。ブラジルは伝統の4-4-2で2トップはともに17歳と言う若いメンバー。
試合は、ブラジルが自慢の個人技で日本の守備を翻弄しゴールに迫る。日本も速く厳しいプレスで対抗するものの、2人がかりの守りを突破されてはピンチになるのも仕方ない。しかもブラジルの選手は日本の選手とは逆に、ゴールに近くなればなるほどキレとスピードが増すので守るのも一苦労だ。
そして10分に、右25mほどの距離からのワグネルの強烈なFKが前線にいたアレックスに当たってコースが変わってブラジルが先制してしまう。さらに21分には日本のPA外側でパスをつながれ、最後は兵藤がPA内で足を引っ掛けてしまいPK。しかしブラジルはこれを大きく上へ外してしまう。
防戦一方だった日本も25分に、中盤でボールを受けたカレンがうまくドリブルで前を向き、中に入った兵藤にパス、これを兵頭はうまいトラップからミドルシュートを決めて日本は同点に。ここから、日本もようやくブラジルのリズムに慣れはじめ、中盤でのプレスからボールを奪ったり、DFのフィードから平山のポストプレイを経由し、サイドを中心としたオーバーラップを多用したタッチ数の少ないパス回しや、でブラジル陣内に攻め込み始める。しかし高いブラジルのCBが日本の攻撃をことごとく弾き返し、ブラジルもスピードに乗ったカウンターで対抗するなど、一進一退の展開のまま前半は終了する。
ところが後半開始早々、左サイドでボールを奪われてからのカウンターで、水本が中途半端にフォアチェックに行ったスペースに、交代出場で入ったデニスがスピードに乗った突破を仕掛け、それを止めようとした吉弘の足にボールが当たってこれが日本ゴールに吸い込まれてしまう。さらに15分ごろからは日本に疲労の影響が出始め、中盤でパスを回されて守備での数的優位が作れず、後手に回る場面が増え、日本は決定的なチャンスをいくつも作られてしまう。
業を煮やした大熊監督は29分に森本を投入、原と平山との3トップにして反撃を図り、森本や兵藤がチャンスを作るも、ブラジルGKのナイスセーブに阻まれ、逆に34分に薄くなった守備の間をまたもデニスに突破されて3点目を決められてしまう。その後は日本も森本を中心に攻め込むがブラジルに守り切られて試合終了。
確かにブラジルとは個の力という点で、まだまだ差があることを思い知らされた試合だったが、平山のポストプレイや森本や苔口、カレンの個人技、DF陣のパスの精度、ひるまずプレスに当たる中盤など、前回のワールドユースに比べれば選手個人の前向きな姿勢、個人で勝負出来る能力が感じられて、見ていて気持ちよさを感じたのも確かだ。ただ、惜しむらくは日本には珍しく良いフリーキッカーがいない事で、セットプレイが武器になるようになれば面白いチームになりそうな感じはあるのだが。