イタリア セリエA第29節 アンコーナ-ボローニャ(3-2)

ここまでたったの1勝も出来ずに早くもセリエB降格が決定してしまったアンコーナ。メンバーの中にはラパイッチやブッキ、ソリアーノといった中田ペルージャ時代の僚友がいて何となく懐かしい雰囲気。ボローニャの方は前節パッとしなかったシニョーリがベンチ、ターレの1トップの下にロカテッリと中田が並ぶ4-5-1という形。
試合は開始からアンコーナががっちりペースを握る。とにかくボールホルダーへの寄せが早く、ボールを奪ったら素早くトップのブッキに当てて、中盤の選手がどんどんトップに上がってスペースへのパスをつなげて来ると言う市原のような試合を見せる。ボローニャは逆に攻守の切り替えが遅く、ターレや中田が孤立してしまってほとんどボールをつなげる事が出来ない。アンコーナのスタジアムの芝も深いのか、中田の展開パスも弱くて戻ってきた相手にカットされる場面が目立つ。
しかし先制はボローニャ。12分に左サイドでのワンツーで抜けたロカテッリがGKに倒されてPK。これを中田がGKの動きを良く見てコースに決める。アンコーナは非常に良い形での攻めを見せるのだが、最後の最後でミスが出て決定的場面までなかなか行けない。
だがアンコーナにも良い試合の報いが来る。23分に、ラパイッチのやや右からの遠目のFKがボローニャの壁に当たってコースが変わって同点に。そこからはアンコーナも少しペースダウン、35分からはボローニャにも数回決定的なチャンスが来るもののターレなどが決められずに前半終了。
後半開始早々、ロングスローからのヘッドをパリウカがスーパーセーブで防いだものの、そこからのCKのこぼれ球をブッキに押し込まれてボローニャはリードを許してしまう。そこからはアンコーナのスタジアムが燃え上がり、11分にロカテッリが不用意にボールを奪われ、そこからの一気のカウンターで最後はラパイッチに決められて3点目。
ここでなんとボローニャは一気にシニョーリ、コルッチ、グーリーと一気に3人をを投入する。マッツォーネの怒りが目に見えるようだ。これで中田はダブルボランチの一角に入り、2点差がついて引いたアンコーナに対して超攻撃的なソフトを取る。それが実ったのか19分にCKの折り返しをターレが押し込んで1点差に詰め寄る。
そこからはボローニャの猛攻にアンコーナがひたすら耐える展開に。しかしアンコーナも守備の集中力が高く、後ろがスカスカになったボローニャにカウンターを浴びせて抵抗する。そしてアンコーナが最後まで何とか守りきって試合終了。
イタリアでは、特に選手のモチベーションによって簡単にチームの力関係が変わってしまう事が良くあるのだが、この試合も相手が降格決定している安心感で満ちたボローニャに対し、このままでは終われないホームのアンコーナの意地が勝ったゆえの結果であった。ボローニャは、降格圏を脱出しては格下に簡単に気を抜いてしまう悪癖をまたもや繰り返してしまった。マッツォーネも頭が痛い事だろう。
今日の中田は後半にダブルボランチに下がってからは非常に良い組み立てを見せたものの、上がり目だった前半は相手のマークに苦しんだ。マッツォーネは中田を上がり目で使いたがる事が多いが、それで中盤の展開力やキープ力が失われるマイナス面の方が多いと思うのだが・・・