オランダ エールディビジ第4節 PSV-ユトレヒト(2-1)

藤田テレビに初登場という事で楽しみにしていたこの試合、しかし相手はCL出場権獲得でケジュマン、ロッペン、ロンメダール、ファンボメルなどの主力をそっくり残した強豪PSVである。ユトレヒトは4-3-1-2でトップ下の位置に藤田が入る布陣。
前半から当然のようにPSVがボールを支配。ユトレヒトは時折カウンターのチャンスがあるのだが、ボールを受ける選手の受け方が次にパスをどう回すかと言う事を考えずにトラップしている感があり、何回もタッチしている間にPSVの守備が追いついてボールを取られるかバックパスになってしまって決定的なチャンスが作れない。
藤田もボールにからんでワンタッチでスペースを広く使って行こうとする意思があるのだが、いかんせん他の選手が「パス受ける>意図の無いトラップ>相手に詰められる>バックパス>前に蹴りだす」といった流れなのでなかなか得意のバイタルエリア内でのプレーが出来ない。逆にPSVは相手ゴール前でのボール回しやスペース作りが非常にうまく、サイドに抜けたウイングに速いテンポでボールが回って確実にチャンスを作る。
そして前半15分にPSVのカウンターの場面で、中央からスルーパスに反応したケジュマンが右45度からダイレクトでシュート、これが見事に決まってPSVが先制する。やはり昨年の得点王、反応、スピード、技術、冷静さともにユトレヒトのFWとは格の違いは明らかである。PSVはその後も攻め立てるがユトレヒトもなんとか粘って守りきって前半終了。
後半に入るとユトレヒトは藤田を右SHにした4-4-2にフォーメーションを変更。これが功を奏したのか攻守のバランスが良くなり、プレスが効いて藤田もボールを持てるようになる。しかしそれも20分間だけで、そこからは再びPSVが攻勢。そして26分にまたもカウンターから右に抜け出したファンボメルがDFをうまく交わしながらボールを受け、GKの股間を抜いたシュートを決めて2点差に。
しかしこのまま為すすべなく試合が終わるかと思ったロスタイム、右サイドのワンツーで抜け出した選手からの折り返しのボールをゴール中央へ走りこんだ藤田がボレー、これが相手の足に当たってゴールに転がり、藤田は記念すべきオランダ初ゴールを決めた。この場面では2点差のロスタイムという事でPSVが気を抜いていたとは言え、ワンタッチパスからの良い攻撃だったので、こういう場面が増えるともっと藤田も活躍できるだろう。
その藤田だが、試合を通してみればボールを持ったらタッチの少ない良いプレイはするものの、皆がスペースに連動して走りこむジュビロとは違って、まだまだユトレヒトのリズムに噛み合っていない印象を受けた。特に、前でボールをキープした選手がボールをうまくつなげられないので、藤田自身ががっちりとボールキープをして展開のためのパスが出せるようにならないと上位を狙うのは難しそうだ。藤田と他選手、両方の成長が望まれるところである。